少子高齢化の中で「里山」と呼ばれる中山間地の人口減少と産業衰退は全国的に顕著で「福島もその例外ではなく」と言うよりも放射能災害によって一層深刻な状況が進んでいます。 昨年暮れに、東電と経産省が中小・小規模事業者の賠償打ち切りを打診してきました。素案と言う形で事故から5年で打ち切りると言うことを商工団体に伝えて、当然のことながら相当の反発が生まれています。

ただでさえ産業を支えるのが大変な状況に、降り注いだ放射性セシウムによって生じたいわゆる風評被害と原木の汚染と言う実害に見舞われたシイタケ生産。 阿武隈山系は全国的に有名なシイタケの原木の生産地で遠く国東半島まで出荷され、彼の地のシイタケ生産に一役買っていました。 むろん地元福島でもシイタケ生産が盛んで、里山の貴重な産業資源でした。地元の原木が汚染されたのなら費用は賠償しますから他の地方から原木を買って栽培してください、と言ったかどうかは知りませんが、いわゆる風評被害によってここで生産荒れたシイタケなど売れようはずがありません。

加温してシイタケを発生させる施設も放置されたままで、かつて原木を重ねる土台になったブロック片だけが所在無げに置かれています。 このような被災者に対しても賠償は遺失利益、つまり取り損なった収入だけ。転業や新たな収益源の確保は自分のリスクで行わなければなりません。 もともと事業とはそんなもの「事業者の自己責任ですよ」と言う冷めた目もありますが、電気事業者たる東京電力が収益の増加を図るためにリスク管理を怠って、遠方の多種多様の事業者や住民に直接間接に甚大な損害を与えたのは事実。

他に与えた損害は棚上げにして「すみませんが汚染水処理は予定通りできませんでしたので期限を延ばします」なんとも困った人たちに、原発と言う危険極まりないない事業を託してしまったものです。
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