先月から出てきたハウスきゅうりに加えて、露地きゅうりも出荷時期になりました。 乾燥防止のために畝間に敷き込んだ稲わら、そして栽培終了後のこ稲わらはトラクターで畑の土に混ぜ込みます。

稲わらの持つ肥料成分などは知れたものですが、有機物を混入することによって(概念的な言い方ですが)土が豊かになります。微生物や小動物の住処になって、また土に小さな隙間を作り、根に酸素の供給しやすい状態や根が張りやすく、肥料成分が雨などで一気に流れて行かない状態を作ります。

しかし、やみくもに稲わらなどの有機物を入れればいいというものでなく、稲わらやもみ殻のように「生」に近い有機物は、発酵分解の過程で窒素を多く必要とします。農産物などの植物も成長のために窒素が必要になるので、植物(の根)と有機質との間で窒素の取り合いが起きます。 植物の成長には、窒素が不可欠ですが、多すぎても病気や品質低下の原因になります。ですからわざと土壌の過剰な窒素を消費するために、ある種の有機物を入れたりすることもあります。紙一重というか、かなりの高等テクニックなので誰にでもお薦めはしません。
葉の色、枝葉の伸長を見ながら有機物だけで、畑の栄養管理を設計します。この敷いた藁を剥いでみると、黒い土に真っ白いきゅうりの根が伸びてきています。その様子できゅうり、そしてこの畑の「健康状態」がわかります。
今日もNHKの東北ローカルで、TPP等に備える植物工場等先端農業の放送がありました。昨今の流行は「農業の先進国オランダに学べ」、しかし国情の違う国の上辺だけを真似しても始まりません。
国際競争力も含めて、この白い根の張りがポイントになってくるような気がします(ハードだけではなく植物生理にも目を向けろということです)。晴れやかに津波の土地に作った植物工場で将来の夢を語る若き農業者、NHK的な画面はいいとして、設備投資など資本の勝負に持ち込むと、それで利益のとれる面々が舌なめずりをしているようで、画の背後がどうも気になります。
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