化学肥料を使わず栽培する米を有機米と言います。もちろん難しい定義はありますが、それはひとまず措いておきます。 通常の栽培よりかなり手間暇が係ります、その分売価は上乗せできますが、手間暇に見合うかどうかは経営次第です。ところが、TPPなどにより価格競争等の激化が予想される今後のコメ栽培では、とりあえず差別化技術として押さえておきたいワードです。 ところが、化学肥料を有機肥料に置き換えれば直ぐにでも生産手段の移行が可能かと言えばそうでもありません。

田植えが終了して約20日経つ有機水田、一般の田んぼがすくすくと育ち始めているのに何とも貧弱なまま苗が風にそよいでいます。慣れない農家はここで狼狽し化学肥料を撒きだします。
有機米はここからまだ一月は辛抱が要ります。隣近所は心配して「どうしたの?」と声をかけてきますが耳を傾けてはいけません、イネの生命力を信じてひたすら待ちます。 有機肥料は分解をして根系から吸収される状態になり始めて生育が追いつきます(これも相当乱暴な言い方ですが)、そして追い越します。8月ころには驚くほど繁茂します。ところが有機施肥設計を間違えると、絶対的な成分が足りず青立ちのまま秋を迎えることもあります。

昨年の春、知り合いのコンサルタントから「東京の公的機関」が画期的な農業資材を認定したので、話だけでも聞いてくれと言う話がありました。確かに都の外郭団体のコーディネーター名刺を持つ担当者が、朴訥とした企業経営者を連れて見えられました。 触れ込みでは、この企業が開発した水の活性化装置を通した「水」を掛けるとコメの品質が上がり、多収になるとのこと「都の認定技術ですよ」とコーディネーターはまくしたてます。朴訥とした生真面目に開発の苦労を語る経営者と饒舌なコーディネーター、この取り合わせが面白くて技術の内容よりもこのやり取りを鮮明に覚えています。
今日有機米の水田を見ながら、なぜかこのことを思い出しました。理由は前の日曜日、「ルーズヴェルトゲーム」と言う昨年の人気番組の柳の下のドジョウを狙ったテレビドラマ、悪役のライバル企業の社長と「饒舌なコーディネーター」がどうもキャラクター的に被ったからです。
さて、肝心の画期的装置ですが、それはまた日を改めましょう。
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