今週になって暖かくなりましたが、先週までは3月でも冬の陽気。植物を栽培する気苦労はただ事ではありません。 きゅうりのベテラン農家、恐らくきゅうり作りはかれこれ半世紀、大型ハウスで栽培を始めてからからも30年。この大型ハウス今回の大雪では被害はなかったものの、過去近隣の河川の洪水で2度水に浸かったことがあったそうです。

化学肥料で栽培していた頃は土が固く、水が上がると引くまで相当時間が掛ったそうですが、微生物+有機質の栽培に切り替えてから土の団粒化が進み、砂に水を撒くように地面に浸透するようになったそうです。それにしても洪水など無い方がいい話、きゅうりの為にしていたことが洪水でも救われたという笑い話。
ところが、放射能災害の「いわゆる風評被害」。コストのかかる有機栽培をしても換え控えに遭うため、需給のバランスでしか価格が決まりません。付加価値で値段が決まるのではなければ「美味しいきゅうりの為」の努力も洪水ではありませんが水の泡。農家とて経営者迷うところです。

予想外の寒気に耐えてじっと地温が上がるのを待つきゅうりの苗を見ると、人間の都合で安易な栽培はしたくないと追うのが人情。 大型ハウスを年間2回転させる夫婦と近くに嫁いだ娘に手伝ってもらう家族経営、決して零細農家ではありません。東電の相談室を通して年間の補償金額を算定してもらったら10万円余り、実損金額とは一桁違います。
きゅうりは生長の先端部にぴんと張った「ひげ」のような蔓が伸びます。根から吸い上げた水分が「ひげ」の先端から滴になって落ちます。元気に育っている証拠ですが、先端から落ちる水滴が、つい栽培農家の涙に見えてしまいます。
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テーマ:食の安心 - ジャンル:地域情報
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