風評被害にしつこく「いわゆる」を枕詞のように付けるのは、福島原発事故に関る風評被害が過去の事例とは全く次元が違う「広さ」と「深さ」を持つこと。

去る12日に、郡山市のコンベンション「ビックパレット福島」で地元銀行主催の「食の商談会」が開かれました。今回7回目とのこと、一昨年はこのコンベンションホール自体「避難所」になっていてコンベンションどころでありませんでしたが、やはり震災=原発事故以降このような商談会の意味が違ってきています。
TPPや減反、所得保障制度の見直しに揺れる第1次産業ですが、その上に「いわゆる風評被害」があまりにも重く圧し掛かる福島です。

当然このような催しは、「売りたし」と言う希望が「買いたし」のニーズを上回るので、個別商談の希望を出しても売り手側は個別商談までは辿り着けないのが実情で、時間帯で分けた8個の商談枠の内、せいぜい2枠か3枠取って貰えればばよいほうですが、放射能災害以前は全ても枠が埋まる、つまり買い手側のニーズが非常に大きいと言うのが弊社の商談でした。
高度に差別化された(食味や生産管理に優れた)有機栽培農産品を安定的に供給します。ですから、店舗でも加工した商品も価格競争によらずに売れますよ。という技術力とシステムは多くのバイヤーに訴求力をもって受け入れられたのですが、原発事故以降は「福島産」というだけで二の足を踏まれるようになりました。

残念ながら、当日に今年の「ふじ」りんごは間に合いませんでしたが、最晩生梨や秋野菜は相変らず品質味覚に高い評価です。 しかし、品質が高くともデータを示しても、毎日のように原発事故現場から報道される汚染水漏れをはじめとするネガティブ情報は、国民=消費者の深層心理に影響を与えるようで、支援需要以外は低迷したままと言うか逆に無意識に忌避する傾向が強まったようです。
このような、良質食材であると言うアピールが、「漏れてました」「情報公開に不手際がありました」「大雨なので仕方なく流しました」「地下タンクは漏洩のリスクがあるので使わないことにしましたがやっぱり使います」。爆笑コントのようなやり取りにかき消されて「風評被害払拭」と言う努力が吹き飛んでしまいます。しかし、そのほかに行うべき選択肢がそうない分アピールは続けなくてはなりません。 砂に水を播くような行動が続きます。
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テーマ:食の安心 - ジャンル:地域情報
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