先週、今週と続いた出張も終えようやく一息をつきました。 福島に戻って切れば寒いこと、東京でも「冷えますね」という挨拶でしたがやはり福島は身を切る寒さが違います。今朝は思いがけない雪、圧雪には至らず車の轍から消えていきましたが天気図を見ると「西高東低」まだ冬の気圧配置で「春雪」ではありません。

福島市に隣接する伊達郡桑折町、桃雛祭りという恒例イベントが始まっていました。このあたりは果物の桃の産地、果物の桃と桃の節句を掛けたのでしょう、本通り面した商店ではつるし雛や雛人形を飾りつけまだ来ぬ春を待つイベントです。

平成の大合併以来、自治体区分が大きくなり、なかなか地域の特色を出した伝統行事が行われ難くなりました。 ここの町も人口1万人、当然合併の予定でしたがアクシデントで合併に加わらなかった自治体のひとつ。行政上の課題はいろいろあるのでしょうが、こじんまりとした行政区分のよさもあることと思います。この町にも双葉郡浪江町からの避難者が多く住み仮設住宅があり、もう直ぐ3年目の避難生活になります。 福島県内でも温暖な浪江から、寒風吹きすさぶ奥羽山脈の麓に暮らす苦労は推量れますが、さらに帰還の目処も賠償の行方も不鮮明となると寒さや望郷の念がなおさら身に沁みます。

仮設住宅の入り口近く、自転車屋さんの土間には桃、菜の花と雛人形も飾ってありました。この町の特産の桃も風評被害の痛手からまだ立ち直れません、水稲しかり、事故現場から80km離れても福島産のレッテルは風評がついて回ります。かつて皇太子夫妻が訪れた桃園もこの町にありますが、永年培ってきたマーケットへの信用も原子力建屋の水蒸気爆発とともに飛び散ったかのようです。

このお店の奥さんも「家の人形は高価なものではなくて」と謙遜されていましたが、何代かの娘を送り出した家の歴史の人形なので豪華さや段数などは関係ありません。隣りには環境配慮の手作りせっけんがおいてありました。このようなやさしい配慮が心優しいを人を育てて来たような気がします。
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