うろ覚えなのですが「誠心誠意嘘を言う」とは、田中角栄の秘書を永く勤めた政治評論家早坂茂三氏の引用で、確か当時の政権与党の大物政治家が言った言葉だと記憶しています。 総理・幹事長クラスとなると、衆院解散の時期など重大事は野党はおろか与党内部にでも明かすことができず,誠心誠意嘘を言うことにより政局を乗り切ったと伝えられます。彼らの言葉を借りると国益のための嘘ということでしょうが。
東京電力の幹部ががよく使う「誠心誠意被害者の皆様のご要望に答え損害賠償をして参りたいと思います」どうも、東電の誠心誠意もその後には「~嘘を言う」がついて回るようです。

先日、浪江町から福島市に避難していたスーパーの経営者が、一時帰宅の際に倉庫で首を吊り自殺したと伝えられています。痛ましい自殺者がまた出てしまいました。その方は福島市内の借り上げ住宅に居たそうですが、浪江町民が大勢暮らす仮設住宅を訪れては励ましあっていたそうです。 仮にも、居・食・住が確保され、避難者は何の過失もない被害者であって、十分とはいえないまでも慰謝料の支払もある・・・。なぜ自殺者がと、思われるかもしれませんがそれだけ東電の対応が、狡猾で厳しいと言えます。
それ以前、やはり一時帰宅の裏庭で焼身自殺をした女性がいます。東電側は損害賠償申し立てを否認して裁判へ。日弁連が見解を示していた、原子力災害の心身喪失等による自殺は損害賠償の対象となるとの見解にも真っ向から争う構えです。

もう30年近く前、1度だけ訪れたことがあるアウシュビッツ強制収容所跡。仮設住宅の幾何学的な空間を見るとアウシュビッツを思い出します。 もちろん、ここには強制労働も拘束もありませんが、やはり人間が長期間が住む所ではありません。この事故がなければ家庭菜園か自宅の庭をいじり、孫と遊んでいたのでしょうか。お年寄りが仮設の階段の脇の土手に花を植えていました。
避難住民の心のケアが大切です、浪江町の社会福祉協議会の巡回社が駐車場にあります。夜寝られない、ストレスが溜まる、食事がのどを通らない。その悩みを聞く職員もまた避難者です。

積もり続ける不安や不満、それに東電はマスコミ向けの「誠心誠意」を繰り返すのみ。町に戻ってスーパーを再開しても住民が居なければ営業は成立しません。 あきれた話があります。風評被害で取引先から納品を中断された、その交渉に要した費用は必要経費として賠償の対象になります。しかし、売れなくなった分を売るためには販促イベントに参加したり新たな取引先を探すのは新たな営業にあたり、賠償の対象にはならなのだそうです。 東電の損害賠償説明会によると、原発事故がなければ発生しなかった経費はすべて賠償の対象になりますと明言しておきながら、原発事故により売れなくなったものを売ろうとすると新たな営業活動とは。電話の交渉窓口も「おっしゃっていることは良くわかります、誠に申し訳ございません」と繰り返しますが報償には応じません。社員か電話オペレーターか分かりませんが、短期間によくこれだけ訓練したものです。 交渉慣れの指定内農家や自営業の方々では手も居なく捻られてしまいます。

行き場がなく、積んであった堆肥から自然発火しました。幸い小火で済みましたがこんな火事は防ぎようがありません。 仕方なく、農場の従業員が暇を見つけては散水して発火を防いでいます。有機農業に携わってかなり永いのですが、このような作業は見たことがありません。 農場の責任者の方に、損害賠償の請求対象になりますかねと聞くと、「当社でそのような保管方法を指示したわけではありません」で終わりでしょうと、もはや達観の境地でした。

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