日本放射能除染学界研究会の続報です。 19~21日まで福島市飯坂のコンべンションホール「パルセいいざか」で開催されました。
農産物への放射性セシウム移行低減化の技術提案と、域内の有機循環や総合的な情報化の関連2テーマの発表をポスターセッションで行いました。
5月17日に福島県の実証事業で「EMオーガアグリシステム標準たい肥」が移行抑制の効果が高いと公表された直後のタイミングで、展示ボードの前は黒山の人だかりでした。

先回も書いたように、この学会はゼネコン・重電・水処理プラント等企業所属の研究者も多いのですが、交換した名刺や質問内容を確認すると、私たちのテーマは大学や独立行政法人(旧国立研究所)などの研究者が特に関心を示していただいたようです。 中には、高名な原子力関係の研究分野の方が、「研究要約書」から私たちの発表場所の尋ねてこられて意見の交換をさせていただきました。 ご高齢ながら的確な指摘や質問に、答えるこちらもちょっと声が上ずってしまいます。「大切な研究なのでがんばってください」最後は激励を頂きました。 放射性セシウムの移行抑制の機能性は無論、昨年のセシウム稲わら騒動などがあり分断されてしまった地域の有機循環や、放射能汚染の実害や風評被害により経済的にも打撃を受けた、農業再生に向けての販売チャネルの形成まで、社会システムを含む私たちの研究領域に「応援するから県や地元大学の尻を叩いて」と言うことでした。 県や地元の大学とも十分連携は取れていますと一応はお答えをしておきました。

申し訳なくも、ちょっと困ってしまったのが、やはり「微生物」をテーマにする他の発表場所で、「EMオーガアグリシステム」を質問する方がいること。そちらの某大学の担当者も「一般論ですが」と見解を示していただきました。発酵技術を全面出している研究内容には、何か一脈通じるようなものがあるようです。
以前から言われていたことですが、放射能の作物への移行抑制に効果のあるとされていて、行政等が抑制技術として取り入れてきた「ゼオライト」「塩化カリ」は、過剰に投与すると農産物の成長を阻害したり品質の低下を招くことが指摘されています。 研究者を「学者先生」と煙たがる向きもありませんが、このような非常時には積極的な政策提言を行える研究者は貴重です(化学肥料業界のお先棒を担ぐような「お抱え学者」まだまだいますが)。

放射能災害対策などは、多分野の研究者や実務家の所謂寄り合い所帯ですが、それなりの問題意識とスキルを持ち寄ることにより加速度的に情報の集約がなされます。
県の公表したデータを引用する際に、成績書「EMオーガアグリシステム標準たい肥」と内容と出典を明確にしているのにも拘らず、EMオーガアグリシステム標準たい肥のデータしか出てない、と分けの分からないことをブログにアップする「お馬鹿ブロガー」も居るのですよと、放射能災害課の福島の情報を的確に伝えるべく福島に駐在しているライターがあきれていました。
憶測や未確認の情報を出したがる人たちは相手にせずに、自然科学・社会科学に適う、正確で復興に向けて前向きな情報を福島から発信し続けたいと思います。
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