原子力災害以後、農業経営もその多様性に気づかされます。 4月7日放放射能災害に関わる食の安全のシンポジュウムに出席したとき、同じパネラーとして「観光農園」の方が参加されていました。 観光農園は農業ではなく観光業、そう言われればそうですがお聞きしてみると農業的な被害と観光業としての被害が両方あるようです。

もちろん食糧生産ですから、除染はしなければなりません。ここのぶどう園もきれいに表皮が剥離されていました。 しかし、観光農園のもぎ取り体験はまさにアウトドア、果樹園内の空間線量も下げなかれ場なりません。となれば、手っ取り早いのは表土剥離ですが、物理的にも費用的にもとても困難が伴います。 昨年も「果樹農家は一刻も早く表土を取り除かなければなりません」と打ち上げて失笑を買った研究者がいましたが、とにかく観光客は、学校のグランドや公園のような除染を要求します。

例年だと今の季節はさくらんぼの予約が埋まる季節、埋まるどころか震災前の1割程度の予約状況で、旅行代理店そのものが企画を立てないのですから集まりようもありません。ここから大型バスで1時時間も走れば山形県の置賜地方、南陽、上山、天童、寒河江とまさにさくらんぼロードが続きます。 「何でここで」わざわざ、と言われるとなにも言えなくなるということです。

これから、もも、ぶどう、なし、りんごと初冬までの生産スケージュールが続きます。個人販売でもとりあえず敬遠されがちな福島産。青果市場でも去年のももは記録的な安さでした。 季節が進むにつけ果樹農家の憂鬱は続きます。
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テーマ:ほっとけない原発震災 - ジャンル:政治・経済
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