
また柿の話題になります。柿には少々思い入れがあります、100年の歴史を持つ伝統的な農産物加工品を近代的な食品に仕上げてきた、少なくともそれをお手伝いしてきた自負があります。 干し柿をセロファンで包んで、「昔懐かしいふるさとの味」的な売り方を、脱酸素包装で一定の日持ちを保証しファイバーの豊富な健康食品として新たな商品化を進めたのがもう20年以上前のことになってしまいました。
新たな生産流通方式を開発する過程で、従来の物流モデルの中で取引される「あんぽ柿」からは距離を置くようになりましたが、やはり思い入れの強い生産品です。

その干し柿が危機を迎えています、果実の中で「柿」がとりわけ放射能が高いわけではありません。 ただ干し柿にするため重量が1/3~1/4に減ります、その分果実中のセシウム濃度が上がります。どうしようも無い現実のなかで今年は全面的に加工を諦めました。
ひときわ鮮やかなオレンジ色の果実が、食べられることも無く廃棄物となってしまいました。農家の心理、地域経済に与える影響、こんな悲しい現実が目の前に横たわっています。 もともと柿の木は、栽培するというよりも土手とか庭に自生しているような樹木です。この地方はかつて養蚕の産地、養蚕業の衰退にあわせて桑畑に柿を栽培し管理しててきたようなところがあります。
そのような地域の永年の歴史が一瞬で壊れてしまったようです。何とか立て直さねばと言う思いが萎えてしまうような光景の前で、熟した柿のすえた臭いが一層情況の深刻さを伝えています。

でも、がんばろう「ふくしま」。
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