全村避難になった飯舘村の風景です。 全村避難からもう40日、役場の移転も終え、牛の最後の競りも終わりました。 福島から南相馬に抜ける基幹道路をのぞけば、静寂が村を覆っています。 毎日同じように日が昇り、雨が降りまた太陽が照らす大地には草や樹木が生い茂り、逆に人がいないのが全く不思議な光景です。

花のビニールハウスの中では、切花用のトルコ桔梗が花を咲かせていました。もう何日も水を撒いていないのでしょう、あちこち枯れた枝葉も見られます。 普通なら、こんなに花が開かないうちに切花で出荷され、花屋の店頭で水を吸い上げ、つぼみから花を咲かせるはずでした。

和牛が飼育されていた牛舎も、人も牛も見えません。 いつもは牛が尻尾でハエを追いながら、ノンビリ噛み返しをしていた風景が、牛のいないまま残っています。
長い人間の歴史のなかでも、いまだかつてなかったような風景が現実のなかで起こっています。 ここにいた人たちも、仮設住宅、アパート、親類宅などでこの地に思いを馳せているに違いありません。
安全だ、ストレスチェックだ、やらせメールだ、引責辞任だ。遠い地での騒動をよそに、静寂の地ではさわやかな風が吹いていました。
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テーマ:ほっとけない原発震災 - ジャンル:政治・経済
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