おおよそ5年前、放射能対策に明け暮れていたころ、「風評被害を含む放射能対策とTPPの対応は同時にしないと」と言う趣旨の発言をして、周囲を困惑させていました。 「前門の狼、後門の虎」、目の前の危機に気を取られていると、思いがけなくも別の危機が迫るということを言いたかったのですが。 地元の大学の風評被害プロジェクトでも同様の話をしたのですが、「震災直後のガソリンのない中タクシーをチャーターして線量を測りまくった」という、大学の研究者のあまり意味のない自慢話にかき消されました。ガソリンがないのにタクシーが走るのは燃料がプロパンガスでストックがあり欠乏しなかったと言うのがオチなのですが。
さて、東電などの失態に次ぐ失態が国民の不信感を呼び、放射能災害に関る風評被害もこれほど重大かつ長期化になるとは当時は思いも寄らなかったのですが、そちらの対応に追われているうちTPPも着実に進んできました。
「鉢巻きや看板を作る業者に利するだけ」と一応反対のポーズだけではないかと言われた反対運動や、国会での可決、条約批准と「担当大臣の直前の引責辞任」代わりに調印出向いた副大臣のパフォーマンスへのバッシングと、あまり品」のよろしくないトピックを挟みつつTPPも迫ってきました。ここにきて、日本に参加を迫っていた米国の大統領候補がそれに難色を示しているようですが、前任者との違いを見せたい予定の行動のようで、あちらでひっくり返ることはなさそうです。もちろんトランプ氏が当選すれば別ですが。

突然TPPの話題を持ち出したのは、国内の無策ぶり。大変だ、とんでもないことになる、国内の農業は崩壊だと騒いでいたJAのデラックスな大型倉庫、そこにうず高く積まれた化学肥料。デラックスな倉庫とて○○対策事業で建てられたもの。維持コストを考えずに補助金で建設、維持費を稼ぎ出すため資材を販売、そこで儲けるのは構はないのですが化学肥料を販売するような経済活動が、販売・購買活動を通じて何か競争力になるのか、と言う点が気になります。
農業関係者以外に、販売・購買と言う用語を使うとわかり難いのですが、「販売」というのは農産物を市場送り出すこと、購買と言うのはJAから肥料・農薬または組合員(原則として農家)の生活用品などを買うこと。つまり生産資材を売るし生産物を売る、ダブルの儲けを出せるビジネスモデルで○○補助金も貰えて地域ではほぼ独占的な立場。しかし(だから)外国の農産物が来るとお手上げ、とうのはやはり「変」と言うか体質が脆弱。 戦略があまりにもなかったと言うか、鉢巻きを締めての反対行動が戦略と勘違いしたか。
本日は知り合いの畜産農家を訪ねました。

バター・チーズは関税がなくなると価格が70%下がると言われています。規模では到底酪農大国にはかなわない日本。 しかし、組織に頼らない一匹狼たちは秘策を練っている様子、その効果が表れるのを楽しみに見てています。

彼らの戦略と夢を聞くうち、パンダ模様の仔牛と目が合いました。中国進出でも考えているのか。
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