原発事故からもうすぐ5年、いつまでも「被害を受けた福島県」とばかりも言っておられない時期ですが、未だに地方紙を見ると「風評被害払拭」の文字が載らない日がなく、それも農林漁業のみならず、食品産業や生活・文化面にも及びます。

福島と宮城県境の林道を車で抜けるルートを通りました。昨年の台風で崩れたところはありましたが、徐行してなんとか通れました。 生活道路さえ復旧し切っていないところなので、林道は後回しになるのもやむを得ないのですが、行政機構の不思議なところで農林予算が早くついて、そちらが早く進むようなこともあり得るところです。 まして昨年9月の水害は福島県は農林関係だけが国の「激甚災害」指定だったので、道路の崩落など土木部門の予算確保が大変なようです。
さて、宮城県境から福島市方面に目をやると、手前の光るのが阿武隈川、伊達市の市街地の向こうにに横たわる産地が福島市との境の辺り、その向うの山が福島市のシンボル信夫山、そして背面が吾妻と安達太良の連山。曇っていて遠景はわかりにくいのですが。

白鳥が休む阿武隈川ですが、それらの山地から流れ出る中小河川を集めて、この先間もなく宮城県、仙台空港近くまで北上して太平洋に注ぎます。
この山間部の除染をせずして、「除染をしました」などとは言えない状態であることは明らかなのですが。 人間の生活目線で生活圏の除染と言っても、山間部を通り抜けて河川を経て太平洋に行く流水が如くに、自然環境と生活圏は連鎖していて、大都市圏と異なりその自然とこ共生が地方暮らしの魅力でもあるわけで、「放射能は見えないので忘れてください」と言われても困ってしまいます。 しからば、この広大(考えようですが)な山間地を含むエリアの除染が、費用的に物理的に可能かと言うことになって来るのですが、「修復が不可能なほどの多面的な被害を地域に与えてしまった」ことへの反省が、原発を推進してきた政府も当事者の企業(ようは東電ですが)希薄になってきたように思えるのですが。 いくら謝ってもらっても元には戻らないので「前向きに考えましょう」と言う事に尽きるのですが、前向きと言うのは「いたずらに再稼働を急ぐ」事ではないような気がします。 東電はずいぶん「商売」の方を急いで「新料金設定」で電力事業化の参入事業者を迎え撃つようですが、実質破たん企業のこの生命力には実際驚かされます。じっぽを切っても平気なトカゲと言うのは仮にもかつて国内を代表した優良企業に失礼でしょうか。
スポンサーサイト
|