冬至が過ぎて、庭の「南天」が赤味を増しました。 寒さはこれからですが、日脚が伸びに転じるとなると、何となく気持ちが前向きになります。
数日前テレビでも放送されていましたが、正月に飾る南天の実、南天は「難を転じる」に通じる縁起物だそうです。確かに冬の色のないところで赤い実は一際目立ってきます。

なかなか難を転じきれないのが原子力災害。生活圏以外の除染はやらないことを決定したそうです。生活権から20mの除染は行うので「それを越えて放射性物質が流出することは考えにくい」「落ち葉等を除去すると土砂災害などの2次災害の可能性が高まる」などの専門家の分析による「科学的知見」が根拠ですが、井上環境副大臣の口調からは「費用対効果」、そんな金は出せないし処理場の確保など物理的に無理と言うことが滲み出ています。 被災地の方も一枚岩ではなく、汚染度が低ければ生活圏の除染も必要ないと言っている自治体もあるくらいですから、政府・東電の責任を問う声も知事の声明も聞いても「なんとなく言っている」程度のものでした。
しかし、それですべて済むかと言うと別の話。実は震災直前まで「自然栽培きのこ」を販売する仕事をしていました。「自然栽培きのこ」とは県の林業試験場が開発に携わった「土伏せ」と言う手法で、「菌床」を各きのこの発生に適する実際の山林に埋め込み、発生したきのこを収穫するもの。木の原木や切屑を固めた菌床栽培よりは手間がかかりますが、より天然に近いきのこになります。2011年原発事故当年には加工のうえ海外輸出の事業化も実施する予定でした。
事前に打合せをしたり、栽培計画を立てていただいた農家ならぬ林家の皆さんはさぞ無念の事と思います(我々もそうですが)。 中心的にお世話になった「飯舘村」などは帰還の目途も立ちません。帰っても「どうして生活をする」と言う肝心な問題が依然として横たわります。難を転じるとはいかない問題がそれこそ山積です。
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