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濁流
迷走台風もどうやら通り抜けてくれました。北の方の被害が心配です。長らく太平洋上を迷走したのと、太平洋側から東北に上陸する稀有な進路でここ何日か、その進路予想にニュースが集中しました。

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幸い接近・上陸は午後から夕方にかけて、昨年の台風のように夜中に状況が一変ということはなかったので、増水等確認しながら対応が出来ました。
増水した川に水路の水が滝のように流れ込みます。

内陸部では突風はありましたが、長時間強風に煽られたということもないので、水での倒伏も限定的。幸い桃は主力品種はほとんど収穫を終えていたので、落果被害が出るとすると梨や早生りんご、ぶどうの巨峰はどうだったでしょうか。

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水田の排水路から水が県道に流れ落ちました、幸い道路も傾斜があって、溜らずに流れています。降雨・増水が一段落してから視回ると、土手の崩落や倒木など被害が見つかることがあります。ともあれ、被害が軽微であることを願うのみです。

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吉兆か 2
先日は水田の上を舞う「白鷺」を見つけて、吉兆かと根拠のない希望を申し述べました。順調に穂をつけた水田の上を白い野鳥が飛ぶのは綺麗なものなので。

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その水田に変調、といっても水での稲に異常が出たのではなく、台風のこと。強い台風10号が太平洋上を迷走した挙句に太平洋側から東北地方へ上陸の予想です。太平洋を進む台風の直撃を受けやすい四国や紀伊半島、東海と違って、土木工事も構造物も「台風」直撃はあまり想定しておらず、そちらの地方より台風への備えはどうしても脆弱になるのは、リスク管理と費用対効果上止むを得ないこと。この反面気象リスクの高い耐雪や防寒に対するリスクには供えています。

鷺のいた水田とは全く違った場所ですが、やはり関係する農家の水田。なかなか豊作型の「コシヒカリ」と見受けましたが、台風対策は水田の水を落として排水しやすくしておく程度、強風については成す術がありません。冠水しませんように・倒伏しませんようにと願うばかりです。

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台風の予兆のような湿った風が吹く中、農家さんと畔を見回ると「青大将」が頭を持ち上げています。胴が太く動き出さないところを見ると「ネズミ」か何かを飲み飛んだばかりかもしれません。[蛇は財産が出来る吉兆と言いますよ」「それは白蛇ではないですか」などと農家の方と他愛もない話。「蔵に青大将を住まわせて屏風などをかじるネズミを駆除した」ということは実際あった話なので、青大将=財産の守護=蓄財も満更根拠のないことではないかもしれません。

平成21年は東日本大大震災のイメージが強いのですが、水害もあって特に南会津で甚大な被害がありました。昨年も9月に台風の水害で農地の冠水や土砂崩れがありました。
全くの人災で、未だに(この先当分)被害の収束が見えない原発事故はともかく、続く気象災害は「どうぞ軽微でありますように」その都度、出来る限りの対応で何とか凌ぐ生産現場です。


八朔
八朔(ハッサク)といっても、柑橘のハッサクではありません。旧暦で八月一日のこと、この頃から稲の穂の出来栄えがはっきりわかるようになるので、豊作を願う祭りとして「八朔祭」と言うのもがあるそうです。

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実家近くの小さな社(やしろ)稲荷神社。大河ドラマ「真田丸」で目下舞台になっている「伏見」の伏見稲荷が総本社、全国にこのような稲荷神社が3万カ所くらいあると言われています。このような小さな社ではなく、安部の清明縁の福島稲荷神社は秋の例大祭はこの地方有数の人出の山車祭りですし、宮城県との県境には「萬蔵稲荷」があって福島盆地を一望できる峠沿いに本殿があり、総本社の伏見なりよろしく献上の赤い鳥居が並ぶ参道があります。

稲荷神社は旧暦2月の最初の午の日を「初午」として祭礼を行いますが、この地区のお稲荷さんは合わせて八朔も祭礼になります。祭礼と言っても、何をするわけでもなく、当番の氏子数人が、社に詰めて本尊を出してやはり数人訪れるかどうかの参拝者を待ちます。

本殿を持たないような、小さな社だけの「稲荷神社」が全国の大半で、「赤い鳥居と1対の狐の置物」というのが稲荷神社の紹介ですが、ここのお稲荷さんは1対の狐もなく赤い鳥居は根本が腐り危ないので撤去。
今年の八朔(旧暦の八月一日)は9月1日に当り、その祭日に合わせて新しい鳥居の設置です。


どうやら、建ててから赤く塗るようで、とりあえず建てました。

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祭の9月1日は平日で、普通勤務を休んでまで参拝はしませんが、直前の日曜日に合わせる祭礼準備は何とか参加する氏子もいます。
生い茂っていた周囲の草木も取り除きました、上から覆いかぶさっている銀杏は何とも素人では手が出せません。気は心、とりあえず祭の準備は出来たということで。


日常
台風がまさに週替わりで来襲するなか、「オリンピック」も「高校野球」も、そして「夏休み」も終わり日常生活が戻りました。

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例の甲状腺検査も、「過診療」の弊害など専門家の間でも様々な主張があり、小児医療の素人など判断の術もありません。この中で子育てをしてきた親の心労はいかばかりだったかと思われるます。もちろん過去形で話すことではありませんが。

幸い県内での生活者の中には、白血病患者の急増のような情報はありません。先日は事故現場の廃炉作業の労働者の白血病が「労災」に認定されました、例の凍土壁の計画が破たんなど、原発事故がらみの情報、しかもどちらかと言うと事故当事者の失態で住民にはどうしようもないニュースが飛び交い、風評が収まる気配が見えません。

風評被害とは「科学的根拠のない「噂」「風説」によって生じた、消費者等の買い控え」という、事故直後に設定された定義とは違ったものになっています。もっとも、本原発事故に関しては、従来の「風評被害」のでは捉えきれないが、司法判断も含めて他に適切表現がないため、便宜的に「いわゆる風評被害」と呼ぶことになっていたのですが、いつの間にか「いわゆる」がつかなくなりました。代わりに、起こっている現象を踏まえ「風化被害」などと呼ぶ研究者もいますが定着にはしばらくかかるかも知れません。その前に「被害」が無くなればそれは一番良いのですが。

気がつけば梨
通りのヒマワリ。今年はの果実等の生育が早かった割に、梅雨明けが遅れたせいか、なんとなくヒマワリの生長はそれほど早くなかったような気がします。

よく通る道沿いで、バロメーター代わりにしていたヒマワリの、8月末になるとその役目を終えるように少し萎れてきました。

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6月の梅雨の最中、1本だけ咲いた花を見て「何はともあれ、夏近し」と思わせたヒマワリも2が月経ってその座をコスモスに譲ろうとしています。


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桃も最終盤、果樹の主役は「梨」へ。玉張りは順調のようです。未だ梅雨が明けない頃に、この近隣の梨園で原子力災害で訴訟を起こしている裁判の「現地検証」がありました(後から聞いた話ですが)。間もなく結審して年明けにも判決が出るそうです、しかし、この訴訟とて氷山の一角、標準化できないような多様な被害の形があります。2審もあれば最高裁もある裁判、季節は廻れど被災地の闘いは続きます。
阿武隈急行線
福島市と宮城県の柴田町を結ぶ阿武隈急行線、第3セクターです。
台風のあと、ミニトマトのビニールハウスの視察。突然轟音がすのので、出て見上げれば電車が通ります。

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改めて去って行く電車を見て、去って行った台風の後の空を見れば、まだ8月ながら秋の空。残暑はまだまだ厳しいのですが、空の色は季節の移り変わりを表します。

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ハウスに戻れば繁茂したミニトマト、若干「徒長」の気配ですが、今になってもこの状態は「土づくり」が上手く行ったのでしょう。あとは、徒長の原因である(と思われる)追肥で使う液肥、化学肥料のN成分を押える肥培管理。そうすればミニトマトの糖度もあがります。
吉兆か
行ったと思ったら、またやってくる今年の台風。発生が遅いと言われていた今年の台風、帳尻を合わせるように次々とやって来ます。

幸い当地方では大きな被害はなく、農産物への被害も限定的。もっとも風で梨は落とされたようですが、堤防の決壊や土砂崩れは報道されませんでした。もっとも、昨年9月の台風被害の痕跡が残っている現状ですが。

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水路の点検や冠水の有無を見に水田へ、少し出穂が遅いと心配していた水田も、穂が出揃っていました。もっとも少し頭を垂れはじめた水田もあるのですが、収穫適期まで1月半以上、この状態なら大丈夫でしょう。

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周囲を見ると、その水田の上を白い鷺が乱舞。台風一過の緑の背景に白が映えます。野生の生態からすれば、大水で打ち上げられたカエルなどの両生類を補色のために出現したのかもしれませんが、折角の機会、「吉兆」ということにしましょう。
いったい何なのか?
いったい何なのか!東電の事でありません。
例の「メルトダウン」を巡る隠蔽で、社長は非を認めて減俸と言う、対外的にはあまり意味のなさない責任の取り方をしたのがしばらく前。最近では、例の凍土壁について、外部有識者から「東電の計画は破綻」と指摘されたと朝日電子版の報道があって、Yahooニュースで取り上げられてネット上では開催中のロス五輪に因んで「アンダーコントロールされていない」と、東京五輪の誘致プレゼンまで引合いに出される状況です。

さて、本日の一体何なのかは通りがかりで見た植物。

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畑に栽培中、「手」と言われるツルを這わせる網が設置されているので見たところマメ科植物の栽培、葉もインゲン風。この辺りではササギ豆などと言われます。
ところが鮮やかな赤と言うよりオレンジ色の花が咲いています。

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マメの形は見えないので、まだ生育途中か。それにしては蔓や葉は繁茂しているので、マメ科にしては肥料の与えすぎかと、難の植物かわからないまま大きなお世話のような感想。

戻って調べてみると、やはりインゲンの一種で「ベニバナインゲン」というもの、見た通りの名称でした。うかつにも栽培上のベニバナインゲンは初めてでしたが、収穫されたマメは通称「花豆」をいわれ、和菓子原料等にも使われるもの。こちらの方は見知っていました。
ひとつ勉強になりました。

秋の準備
台風の合間の、降ったり晴れたり。残暑は大変ですが、晴れてもらわないと困る面もあります。湿気が多いと、やはり病気は多発します。
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先月末に定植した露地きゅうり、収穫は始まっていますがピークはこれから。秋のお彼岸にかけて収穫します。

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10月~11月にかけての収穫はハウスきゅうり。春きゅうりの残渣を取り除いた後、旧ピッチで植付けの準備。いくら忙しくとも、きちんと有機質を入れるところから始まります。

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堆肥も十分な仕上がりです。この状態なら、散布・耕耘・苗の植え付けが短期間でも大丈夫です。決して短期間で植え付けることをお勧めしているわけではありませんが、経営上は土地や施設利用の回転率を上げることが肝要。それを支えるのの農業技術、ここで言えば有機質の発酵技術です。
夏の名残の夏野菜
技術的なサポートをさせていただいている農園。ここはもともと福島市の菜園講座を受けた受講生用の菜園。
今では受講歴に関係なく、一角を各自借りて大小さまざまな菜園になっています。
一人暮らしの自給菜園から、学校給食やマルシェで販売する規模まで、さすがに専業農家はいませんが。

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サポートをさせていただいているといっても、一挙手一行動まで見るわけではなく、基本的な品種選択や仕立は各自。もっとも指示されながらする菜園ほど面白くないものはありません。
最低限の品質と収量を確保できれば、それで良し。菜園を見渡しても各人の個性が出ます、この西瓜は立派な球張りです。「大きくしようとして化学肥料を入れちゃだめですよ」このことが理解できたようです、西瓜などウリ科はそんな成分は蔓・葉に行ってしまいます。

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残念ながら、この枝豆はイネ科雑草とヒルガオに覆われました。今除草をすると9月には食べられるか、「夏休みの孫が来て」と雑草繁茂の言い訳が聞こえそうですが、孫に草むしりをさせるのもいい体験だと思うのですが。

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こちらは枝豆栽培の成功例。最初は少々手間でも、黒いフィルムを張る土壌マルチは後の雑草管理が楽になります。
専業農家と違い多様な種子を蒔くため、品種の位置が分かるように種の袋を目印に残しておきます。几帳面か大胆か品種の特性とともに、栽培者の個性が出るのが面白いところ。

台風一過
迷走をすると言われる夏台風も、今回はストレートに太平洋岸を北上し北海道を直撃してしまいました。福島は、昨夜半から降った大雨も午前中には上がりました。

オリンピックは終盤戦メダルラッシュに沸いています。甲子園は早や順々決勝、ここの4試合が一番面白いとされています。幸い監督の言う「奇襲」が成功して、地元聖光学院がベストエイトに残っています。去年もそこそこのチーム力でしたが1回戦で優勝の東海大相模に当ってしまいました、昨年なら知り合いの子がベンチに入っていたのですが。台風が向かった先の北海道の名門北海高校との対戦、どうなりますか。

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台風が去ったとの青空、まだ8月も20日前なのですが、何となく秋の空の色を感じさせられます。この木は「金木犀」、あとひと月余りでオレンジの花を咲かせますが、さすがに未だ花の様子は感じられません。

猛暑で始まった夏も、月遅れの盆の入り辺りから、朝方には少しひんやりとした空気になりました。

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金木犀の下では、はやコスモスが何輪か。日本の暦と恒例行事はつくづく上手く出来ていると思います。月遅れのお盆に合わせて夏季休暇、終わったころに夏のシンボル甲子園が決勝戦。駆け足で夏が去って行きます、ことしはそれにオリンピックが重なります。

台風
今年は台風があまり来ない年と思っていたら、太平洋を北上する台風で東北地方は激しい雨になりました。

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幸い収穫中の晩生の桃や、収穫前の早生りんご、巨峰を揺り落とすような風はありませんが、風は台風本体が去った後の吹き返しがあるので、油断できません。

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川が氾濫しているわけではありませんが、水路に呑み切れない雨水が地表を覆っています。幸い台風が北上するお昼ごろには上がる見込み。昨年の9月の台風のような土砂崩れの情報はありません、「ずいぶん降ったね」で終わってもらいたいものです。

リオの陸上競技も雨で力が発揮できなかった選手もいるようですが、もともと空の下でやる競技、農業同様気象上の制約は覚悟の上でしなければなりません。
川中島白桃
桃の品種「川中島白桃」。やや晩生品種で、福島なら例年盆過ぎの出荷。中生の主力品種「あかつき」より大ぶりです、実はこちらの方がやや硬目ですが、その辺りは好みの問題。リンゴじゃあるまいし桃は柔らかいに限ると言う好みもありますので。

桃と言えば、山梨や岡山が有名ですが川中島の名が示す通り信濃で育成された品種。その基になった白桃は岡山ですが。

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今年は暖冬と適度な湿気、初夏の高温傾向で生育が早く、例年より10日は早く桃のシーズンに入りました。梅雨明けが遅れたので調整はあったもののそれでも1週間は収穫が早く、いま晩生のはずの川中島白桃が最盛期。旧盆中の出荷はとても珍しいことです。冷夏で中生種「あかつき」が遅れて、お盆の出荷だったことはありますが。

この品種を生んだ長野県は、もともと農協の販売力が強力で、「旧長野県経済連」といえば青果市場に強力なコネクションを持ち農産物販売では他県の追従を許さなかったところです。

福島県は特に果樹では、温泉地などに訪れる観光客に対し「観光農園」「直売」などで顧客を得てきたところ。

ちょっと見せて頂いたら、PCの顧客管理、配送管理も行き届いています。

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だから、原発事故の風評被害の影響は甚大だった要因があります。永年のデータが水の泡になりました。「長年のお付き合いだから、私は買うけど他人に贈れない」と言われれば返す言葉がありません。この場合、顧客の逃げ場所は他の桃産地ばかりではなく、他の季節の果物「ぶどう」「メロン」だったり、お菓子だったりワインだったり。

モノの豊富な時代にこのような事件が起こると、取り返しがつかないことになります。


出穂
イネが穂を出すことを「出穂」(しゅっすい)といいます。
子お地方のコシヒカリの出穂は月遅れのお盆の頃、まさに今ですがこの水田の出穂は少し早いので、おそらく別品種。

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コシヒカリなら8/20頃のイネの状況か。何れにしても、出穂時期の天候も順調で「豊作型」の生育年と見れますが、今年の作況は平年並み、指数で言えば99とか101のようです。もっとも豊作を喜べない稲作になって久しいのですが。

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隣の水田は出穂前、こちらがコシヒカリか。確認をしていないので何とも言えませんが。こちらの方が隣から見れば生育が遅れていて心配そうに見えますが、株がしっかりししており豊作型に見えます。勝負は2か月先稲刈りの時期です。

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稲作を見て回っていると散歩の犬が不審者を見るように通り過ぎます。明日差に弱い犬も散歩に連れ出されてアスファルトの照り返しの上、なかなか大変です。来週は曇り、雨の天候が続くとか、出穂はともかく受粉のときは穏やかな天候であってほしいと思います。
ハードの話
先日は阿武隈山系を横断する「復興支援道路」を紹介しました。
今度はいわき市、薄磯・豊間の新堤防建設現場。このあたりは、中小の水産加工、平たく言えば「蒲鉾工場」が多く立地した辺り。津波で根こそぎ流されました。

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海岸越しに塩屋崎灯台も望めます。「喜びも悲ししみも幾年月」は大分古い映画ですがその舞台。美空ひばりの「みだれ髪」に唄われたと言うのもかなり古いか。

津波の被害地では、元の地形が分からなくなるほどの工事が進んでいました。不思議なものでかなり内陸まで流された場所もあれば、海の根元でも残った場所があり、まさに神の差配か。

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穏やかな凪も、住宅も工場も商店も呑み込んだ痕跡と見比べると一層不気味さが増します。
道の山側には、復興住宅が出来ていました。その道沿いにはコンビニも出展準備中のようで、頻繁に走る工事車両も「復興」を印象付けています。

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震災以前は海水浴やサーフィンで賑わったこの海岸、工事が終わったもコンクリートの護岸で砂浜は無くなりそうです。厳密に言えば違反行為なのかもしれませんが、工事の隅間から海に向かう「サーファー」もいました。

とは言え、また津波が来る可能性が否定できない以上「ハード的な対応」、防潮堤の建設や生活圏の移動はやむを得ません。しかし、ある経済団体が言っていた消費行動の問題。いち早く蒲鉾作りを再開した食品加工会社、原材料は地元も水揚げを使わなくとも、「売れない」のだそうです。ハードの対策だけで解決できないのが、福島県の現状です。
田舎の3態
福島から相馬市に抜ける街道沿い、行政区分で言えば伊達市と相馬市の境。相馬民謡に「伊達と相馬の境の桜」と唄われたあたり、全村避難の飯館村とも隣接し、福島から相馬に至る国道も何カ所か「避難勧奨地点」「ADR(裁判外紛争解決制度)」の申し立て地域」が点在します。

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高原の比較的平坦部、このへんは水田はヤマセの常襲地帯、涼しい夏になると太平洋から吹く風でイネの収量が格段に落ちます。今年のような猛暑の年はヤマセは吹かず、豊作年と思いきや原発事故以来の諸事情もあって、かつてのは草に覆われています。除染廃棄物の仮置き場も夏草で覆われ、農地除染や里山除染などと言える状態ではありません。それ以前の問題です。

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人家が密集していないことから、畜産の基地でもあったこの地域。飼料はすべて外国産と言っていい養鶏は、さらなる規模拡大を求められて、新しい鶏舎建設も進められていました。
作業に携わる外国人研修生も来ていて、思いがけなくも国際都市が誕生するかもしれません。

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さらに住民感情を複雑にするのが「復興支援道路」と称する高規格道路。震災前はいくら陳情しても、工事が進まなかった新道路も「除染廃棄物運搬」の金看板からか、橋やトンネルで高原路縦貫する工事が進んでいます。
この道路が地元に何をもたらすのか、工事を見上げる視線も複雑です。
原爆とシン・ゴジラ
月遅れのお盆の前、相変らず暑い日です。何度も書きますが、猛暑から急に冷夏になった昨年の事例から「暑い」ことに安堵してる感覚もあります。
農業生産にも農作物への高温障害や、作業負担と言う「負」の要素がありますが、やはり「暑いときには厚い、寒いときには寒い」と言う基本構造が望ましいようです。

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福島県立美術館の水撒き、打ち水みたいなものでしょうが、広大な面積のコンクリートの前庭。「焼け石に水」のような気がしますが。駐車場からホールまでの照り反しの中で、少しは暑さも和らぐでしょうか。

さて、先週末に話題の「シン・ゴジラ」見てきました。
去年公開の「進撃の巨人」と監督やキャストが被るため、また凡作?の懸念の中で、年配者から「意外と面白い」の声があったのでそこそこ楽しみに見に行きました。ゴジラ出現直後の政府対応が「原発事故」を彷彿させると言うもの。
確かに子供向けの怪獣映画にはない味付けですが、これならば最後まで「責任を取りたくない官邸・内閣」「役に立たない識者」の構図で最後まで進んでほしかったと思います。
もちろん、元防衛大臣の小池新都知事、今回の改造で防衛相になった稲田朋美大臣を彷彿させる劇中の防衛大臣は余貴美子でしたが、これが意外とはまり役でした。稲田大臣の方は総理の判断の前に自衛隊の火器を使いたがるような気がしますが、それとも弁護士の出なので法令順守で優柔不断の尻を叩きますか。

今回のゴジラも水中深く投棄された原水爆実験の残骸による生物の突然変異のような想定ですが、現実の原発事故との違いは、想定外の生物出現と「金儲けに走った挙句」の違いです。その意味でのやるせない思いで見終わりました。
夏祭り
仙台七夕のように、観光客が押し寄せるお祭りではありませんが、合併前の自治体単位、市役所の支所単位の夏祭りを見かけます。もちろん行政機関がい行っている訳でもありませんが。

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オリンピックと高校野球と猛暑、文字通り盆と正月が一緒に来たような慌ただしさ、あと4日で甲子園で初戦を迎える地元の代表校を応援する横断幕も、祭りの雰囲気づくりに一役かっています。

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これだけ暑いと、日中の人出は疎ら。金魚すくいの水槽も茹ってしまいそうな直射日光ですが、幸い昨年のような突然の冷夏の襲来はなさそうです。太平洋を北上する台風の影響が心配されますが。

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大曲や長岡尾ような有名な花火大会でもないのですが、市を挙げての花火大会の他にも、小さな花火大会も何カ所か。スポンサーがついて収支は何とかなっているのか?と、いらぬ心配をしながら見上げます。
大スーターマインの連続打ち上げとは行きませんが、電柱越しに見る花火もローカル感満載で、なかなか風情があります。足元の蚊が気になりますが。


とにかく暑い
昨年は今時分から急に冷夏になりましたが、今年はそんな素振りはなく「暑いですね」があいさつ代わり。例年だと今頃がピークの桃の主力品種「あかつき」も出荷を終え、現在は晩生品種「川中島白桃」までの間をつなぐ「まどか」の収穫です。

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例年の調査スケジュールで「あかつき」の桃園に行っても、もう残っておらず、隣のリンゴ園が太陽を浴びて秋に備えています。

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ブドウ園の巨峰。桃の最盛期の前に「袋かけ」を終えることが出来たようで、こちらも収穫の秋に備えています。

被災地は何処もかしこも「ワイン用ブドウ」が注目され、植え付けられています。スーパーに行くとたしかにワイン売場が充実していますが、日本人がこれからワインの文化が馴染むかどうか。
食味の良いブドウを供給する方がビジネス上のリスクは少ないのでしょうが、「リスクを取らないでビジネスが成立するか」と6次化コーディネーターなる、訳の分からん肩書の人たちに怒られるかもしれません。

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とりあえず、原料が良くないと加工しても活きないと言う「正論」は申し上げておきましょう。
夏野菜
夏野菜と言えば、なす・きゅうり。施設や流通網の整備で季節感がなくなったと言われる野菜ですが、うだるような暑さの下で育つ野菜が、やはり夏野菜としてはおいしい。

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ヒマワリならぬキュウリも黄色い花、食べるキュウリと言うのは実、もっとそれこそ「身もふたもない」言い方をすればタネですので、この花で受粉をして実が肥大します。
緑のトンネルの中で咲く黄色い花が、一瞬暑さを忘れさせてくれるようです。テレビでは都知事候補の戦闘服が「緑」、今度のはインナーが青、ライバルの新五輪相と被ったのどうのと、あまり意味があるとは思えない話題で持ちきりですが、いよいよリオ五輪も始まり、どうでもいいような報道は少なくなるでしょうか。

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冷やし中華の需要とともにきゅうりの需要量も増えると言われますが、きゅうりの味覚の真骨頂は塩味でも麹でもいいので浅漬け。野菜の味を消してしまうような味付けはともかく、ほんのりとした味付けによってきゅうりの甘さを引出し、少々の渋味が味覚の奥行きをもたらします。
蔓や葉の生育だけを念頭に、化学肥料の追肥を繰り返すような栽培では引き出せない味ですが。
夏の水田
梅雨明けは遅れたものの、気温はそれなりに上昇して陽の差す時間もあったので「いもち病」の発生は見られません。

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葉への発病はともかく、穂首いもち、穂いもちとなると収穫量や品質に関する影響は深刻なのですが、ずいぶん以前の事になりますが、「いもち病は人災」とやたら農薬を撒かせる農業指導がありました。状況を見て「必要なら使う」という、あたり前のこともしてこなかった時代もあります。また、必要にならないような管理技術が前提にないといけませんが。

さて、子供たちの夏休みも中盤。終業式の「通知表」ショックも大分やわらぎ、宿題の方もまだ日前があることから夏休みのうちでも一番羽を伸ばせる時期かもしれません。
その子供向けの夏休み映画かと思っていたら「シン・ゴジラ」と言う映画がやたら評判がいいようです。テレビでの出演者のトークとか週刊誌の映画評価など、例によってのプロモーションはともかく、以前大手マスコミで解説委員を務めていた知人もわざわざブログで評価していました。何につけ辛口で知られた人ですが。

放射能をまき散らすゴジラに成す術もなく対策室に陣取る首相以下が、福島第1原発事故の政府対応とダブって見えるのだそうです。となれば「お子様向け夏休み映画」と侮らず、見に行かなければなりません。
もっともリアリティにかける部分もあるようで、市川日実子演じる環境省職員。「実際環境省にはあんな優秀な職員はおらん」のだそうですが。

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夏の太陽を浴びて出穂を待つ「コシヒカリ」。有機水田で田植え直後から生育が、化学肥料で育った周囲の稲より見劣りしていましたが、7月末からは帳尻を合わせるように追付いて来ました。この分だと収量は逆転するでしょう、何より食味が高い米が採れます。

八月になりました
8月になりました、原発事故から6度目の夏。結局落選した、野党統一候補の鳥越さんが、知事選挙で反原発を訴えて、「それは国政上の課題」と言われていましたが、最大の電力需要である東京都が「原発」に触れるのもあながち的外れではないと、被災県人としては思っています。こと事故があると影響は各所い及ぶので、需要者は電気料さえ払えば問題ないと言う姿勢の方が問題なのかもしれません。
もっとも、対立候補のこれも敗れた増田さんが、立候補前まで東京電力の社外役員や、その他原発に関する役職に就いていたことへのけん制だったのかも知れませんが。

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戦い済んで早くも新都知事は初登庁。すっかりヒールになった県連幹事長は不在で対面ならず。初の女性都知事の話題でもちきりの反面、甲子園では女子マネが練習補助員になられず、危ないから男子だけと言う規約があったとのこと。認識が時代遅れ、現実に即してないと、これもこれから突っ込まれそうです。

約半年前に、雪の中を走る列車の写真を載せた磐越西線。郡山から会津若松・喜多方を経由して新潟の至る線路、今は雪ならぬ夏草を縫うようにして走ります。

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会津地方と新潟県側、同じ米どころにも拘らず、行政区分で[福島県側」だと原発事故の風評被害が重く押しかかります。現在は風評被害ではなくて、風化被害と言うのだそうです。「放射能の汚染を科学的な根拠もなく、噂や不確実情報によって消費者等が買い控えをするのが風評被害」と定義するならばその段階は過ぎて、「風評被害によって長期間売り場から消えた」ことや「以前大変な事故があった地域」ということで、地域イメージの悪化やブランドイメージが喪失し、検査や対策、支援等が風化し、販売不振の現実だけが残る現象を風化被害と言うのだそうです。
これに、イメージが悪くなる要素、事実の隠蔽や廃炉の遅れなど、ネガティブ情報だけが積み上がるので、被災地域としては堪ったものではありません。

この線路の行く先の、新潟県では東京電力の原発対応についてに対し、毅然と対処しているのが全く頷けます。

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「事故前の価格水準には達していない」と、福島の桃など農産物を紹介するときに枕詞のように使われするフレーズが、今年の桃も使われました。
しかし、その統計的に出る価格差と言うのは青果市場での他産地比較。需給量で価格が決まる市場の価格形成よりも深刻なのが、地域イメージやブランド毀損、これは算出が大変な上に何十年もかけて構築したものが水泡に帰しているからです。

データに基づく予想
午後8時、投票締め切りとほぼ同時に「当確発表」。出口調査によって結果を分析して「発表」とのこと、もう少し競れば一応開票状況を見ながらということにもなるのでしょうが、8時には当確が打てるほど差が付いた東京都知事選挙。

販売データに基づき、販売の予想量を決めて常に販売量に相当する補充を実施する。売れて売り場に無くなってから、「納品準備」というのは欠品の原因になります。かと言って、過剰在庫はキャッシュフローを悪化させ、野菜等生鮮品は鮮度の低下は商品価値に直結します。

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東京の一流スーパーから売り上げデータが日々届き、それで販売量を推定して納品、リアルの数値で調整を行います。そのような先進技術も原子力災害で一瞬にして消え去りました。風評によって購買行動が変わり、データそのものが役に立たなくなり、新たなデータを構築しようにもそもそも差別化農産物としての取引が成立しません。ブランド化等による識別性がない限り、消費者は価格で購買行動を起こすので商品の需要予測などできようはずがありません。

西日に当る野菜の無人販売機を見ながら、震災以前を思った次第。

都知事選でも鳥越候補が、反核・反原発を訴え、それについては「国政の課題」と言う反論もありましたが、それを言うなら待機児童は制度上は「区や市町村の役割」。これからの市民生活に密接に関る課題は国・都道府県・市町村の区切りなく考えてほしいものです。もっとも鳥越さんの場合は別方向からミソをつけてしまいましたが。

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小池新知事に方は崖から飛び降りる覚悟の決断が、さまざまな幸運も呼んだようです。桝添前知事にも劣らないような公費の散財を行った元知事から「厚化粧女」と言われれば、判官贔屓は盛り上がります。池上彰が「敵失」と言ったのも頷けます。