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被災地も2度目の新年を迎えます
いよいよ大晦日、震災から3/4年で迎えた去年の暮れ、それからもう1年経ちました。この1年で何を成しえたのかという自問自答に何も答えられません。

青りんご

このところ警察車両が多くて、何か物々しい雰囲気の福島駅近辺、首相やら少子化担当大臣やら環境大臣、復興大臣までが視察だそうです。
一応のセレモニーのようなもので、首相発言の「福島の復興なくして東北の復興なし」も「て、に、を、は」を変えれば、まず前任者の発言と変りません。仮設住宅の入居にている被災者が言っていた「東電の社長がいくら変っても被災者対応はは何も変らない」と言う言葉を思い出します。とはいえ一国の首相、経済政策原発対応も大きく舵をとるようです。事態が少しでもいい方向に向かうことを願うのみです。

暮れも押し詰まってから幾つかのニュースが入ってきました。【来年春を目処に政府、東電等の事故責任について立件できるか判断する・・・】何れにせよ長い裁判になるかと思いますが、これだけの重大事になった以上司法の場でも当然判断が必要です。「逃げ得は許さん」被災地のいつわらざる心境です、非常に重大な天災地変であったことは事実ですが、リスク管理や事後の対応が万全であったとは言い難いので各事故調に続く検証に大きな関心があります。
【浪江町で避難者への慰謝料増額を要請・自治体初】被災自治体の中でも、もっとも発言の過激な馬場町長が次なる手を打ってきました。単なる金銭の問題ではなくて政府や東電の対応に対する不満だとは思うのですが。気持ちは良くわかりますが単なる金銭要求と見られないといいのですが。避難者、私たちを含めた被災者に共通しているのは「先が見えない」「未来像が描けない」「将来設計が壊されたまま」ということ。いつまでどこまで耐えたら良いのか見当がつかないほど心身に堪えることはありません。

ともあれ来年が、せめて将来のビジョンが描ける年であることを祈っています。
今年1年後愛読いただき、本当にありがとうございました。
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テーマ:ほっとけない原発震災 - ジャンル:政治・経済

仮設住宅の赤提灯
クリスマスも終わり、暮れもここまで来ると忘年会も一段落。あとは年明けの新年会と年度末に向けての各種総会懇親会。日本中こんなスケジュールで動いていることでしょう。

赤提灯2

原子力災害は今年も暮れも新年も無い状態です。事故現場から80キロ以上離れたこの仮設住宅は230戸が入居、総勢で4百数十人。つまり一人暮らしや夫婦2人で住んでいるケースがほとんど、中学生以下は約15人。家族は四散し1間2間の仮設住宅では老夫婦のみという構図が浮かんできます。

石井0

この方は石井さん、町の農業委員会の委員長も努められました。いや、過去形ではなく現職、だだし全町避難で1次産業など成立のしようもありません。
仮設住宅にあるプレハブ作りの飲食店、メニューも限られますが生ビールはあります。石井さんのお子さんお孫さんは現在山梨に避難中だそうです。仕事などしようもなく、帰還困難区域と判断され先日説明会が開かれたそうですが、町の職員では現状を説明するのが関の山。環境省の職員は現地の復興事務所の雇用で別に霞ヶ関から来るわけではありません。

彼等に町民の動向を尋ねても「個人情報」をタテに何も語らず。町民の一体感も結束もあったものでは無いと言います。

カウンター3

プレハブの赤提灯にもカウンターはありました。街の飲み屋にでも行こうものなら「結構なご身分で」といわれるのはオチで、悪いことをしているわけでもないのに肩身が狭い、何とも辛い立場のようです。
風評被害も一向に収まらず、かえって支援需要がなくなった2年目の今年の方が農家や食品産業は売上げが落ちています。でも、故郷を追われた仮設の人たちから見ると我が家に住めることを良しとしてがんばる人たちもいます。
こんな仮設の赤提灯から、少しずつ避難者と地元住民の交流も生まれてきます。「東電は謝る以外に何もしない」「社長が変わってもなにも変わらない」「セシウムは公表してもプルトニウムは公表しない」ここで語られる怨嗟の声は内幸町や永田町に届いているのでしょうか。

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櫻井よしこ発言について 2
安倍新政権の閣僚人事が報道されています。(閣僚ではありませんが)経験者によると新聞辞令というものは「誰が流すのか分らないが、ほぼ当たっている」のだそうです。

先頃、郡山で「放射能除染の目標数値を変えないと復興の妨げになる」と言う主旨の発言をしたジャーナリストの櫻井よしこ氏も当初は閣僚予想の中にお見受けしましたが、このところとんと聞かれなくなりました。右よりの論客で安倍新首相との親和性を評価されたのかもしれませんが、当時の細野環境大臣の目標数値をポピュリズムと評したのは閣僚人事に向けてのアピールだったかと、それこそ「下種の勘ぐり」をしてしまいます。
。韓国、中国との指導者が代わるものの、尖閣・竹島とも日本は先送りのまま,櫻井氏には在野のジャーナリストとして小気味の良い発言を期待したいものです。

人参

さて、福島の冬の味覚「いかにんじん」。するめ等と人参を漬け込んだものです、冬の人参は特に糖度があり美味しくて低カロリー、カロチンなども多く含まれる健康食品です。

先日仕事で上京した際に上野に所用がありました。ついでにアメ横によってするめを買いました。ま、それはそれなのですが上野駅頭の募金活動、福島で行き場のなくなった「ワンちゃん猫ちゃんに愛の手を」というもの。
それこそ下種の感覚から言えば「もっと困っていることがあるだろう」。寒空の中、望郷の思いに不自由な仮設暮らし。「早く帰りたかったら線量など少しくらい高くてもいいでしょうICRPはこう言ってますよ」いろいろな囁きが聞こえてきます。そして最後は自己責任と突き放されます。
国民と国家のあり方が問われています。

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師走の雨
師走の雨が静かに落ちてきます。「いつもと変わらぬ年の瀬」といいたいところですが、そうもいえない風景があちこちに広がります。

徐染

まずは除染、公共施設から民間の住宅に少しずつ進んでいます。中間貯蔵施設はおろか仮置き場の設置もままならない中で、一旦埋めて遮蔽シートで覆い搬出先が決まれば掘り起こす2重3重の無駄な仕事ですが代替の方法が見つからない限り、それはそれで繰り返していただかなくてはなりません。
何の瑕疵のない地域を突然襲った災害は国策によってもたらせたもので、原形に復帰しないうちは何の論議の始まりません。

永年の国策の結果とは言え、余計な混乱を招いた当時の最高責任者がビール箱の上で「反原発」を訴えるのも芝居がかっていて「ポピュリズム」という言葉しか思い浮かびませんでしたが必死のパフォーマンスの結果首の皮1枚で繋がったようです、またお遍路の旅にでも出られるのでしょうか。

二本松事務所1

お遍路の旅に出るような時間も資金の余裕もありませんが、暮れのあいさつ回りで通りなれた道を行き来しながらも新しい看板に遭遇します。二本松では浪江町役場に遭遇しました、あちこちの仮設に分散していると聞いた浪江町民も比較的に本松に多く居住していて仮設役場はに二本松市にあると話には聞いていました。

浪江町役場1

バブル期に造成された工業団地、バブルの崩壊や円高で思うように用地が埋まらず、萱やセイダカアワダチソウが生茂っていた工場用地、海外に移転した企業の居抜でしょうか工業団地の中に臨時の役場がありました。これも何か日本の縮図を見るようでなんともやりきれない風景です。

とりあえずここが復興の拠点です、お互いがんばりましょう。

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冬至です
この前、夏至が来たと思ったらもう冬至です。この半年何を成したのか自答しているうちに夕暮れです、何人か知り合いになった仮設住宅の皆さんは、さぞ暮らしにくいだろうと同情に堪えません。慰謝料が一人幾らで家族数×月数と穿った計算をして見せる人もいますが、帰れない我が家に思い馳せるプレハブ暮らしは「いくら金を詰まれても」好ましいものではありません。将来の人生設計がご破算になっては目先のあぶく銭など意味を持ちません。

小松菜7

寒風の中しっかり育ってきた小松菜、放射能対策の目処も立ち以前にも増して力強く育つ小松菜を見ながら、栽培農家は心が晴れるといいます。まだまだ風評被害は大き、全体的にはとても採算の合うような値はつきませんが、育つ端から出荷停止であった昨年よりは「精神状態はすこぶるいい」と話してくれました。

「放射能対策をしてくれたあなたのお陰」とと言う言葉が、こちらとしても厳しい局面を乗り越えようとする励みになります。

除染機器2

新たな地場産業のようになってきた除染事業。それも大手ゼネコンから下請け孫受け4次5次下請け、公共事業の体系そのもの。「地場産業は公共事業」といわれた時代や地域がありましたが、この様な作業がいつまで続かれたら堪ったものではありません。櫻井流の「復旧が進まないから目標の基準を下げましょう」と言うような乱暴なことでは困りますが、早く目処をつけてお引取り願いたいものです。


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「櫻井よしこ」発言について
衆院選も都知事選も予想通りの結果に、地震予報も天気予報もこのくらい当たればというのが感想です。もっともこれほどの差がつくのは想定外で、震度5強の予想に震度6が来たようなものでしょうが。

YAHOOニュースのヘットラインで保守の論客櫻井よしこ氏が年間の放射線量を5mシーベルトにしないと福島の復興は覚束ないという発言をしたということを知りました、約1週間前です。同様のことを言われる知己のマスコミ関係者もいたので少々興味を覚えていました。

白鳥9
DSC_0443.jpg

阿武隈川の親水公園鳥インフルエンザ前までは白鳥の餌場で親しまれていました。今年も白鳥は来たものの公園は荒れ放題、半年以上前の線量立て札がそのまま残っていました。

新シィ公園

例えば対極の(今度の選挙でも何の見せ場も作れなかった)福島瑞穂さんなどよりも、櫻井論調の方がはるかに現実的であると常々思っていたので調べてみると、ヘットラインは週刊新潮の連載コラムからであったようです。

しかし、読むと被害地の福島県民からすると強引な引用や意見誘導が見られちょっといただけません。ダイエーの中内功氏を書いた「カリスマ」以来ノンフィクションライターの佐野真一氏の著書は見るようにしているのですが、先般橋下徹大阪市長の「ハシシタ」でミソをつけてしまいました。この2件を採って硬派知識人の劣化というのは早計でしょうか。

櫻井氏の主張は、「被曝はICRPが(低いに越した事は無いが)20mシーベルト/年間でも大丈夫だといっていて、当初政府も5mシーベルト(以下同)が避難の目安といっていたのが、民主党ポピュリズム政権の細野環境大臣が1mシーベルト以下を約束した。これにより避難民の帰還が遅れ費用も莫大なものになる、賠償金に慣れた避難者は社会復帰が遅れるばかり。と言うような内容でした。」
論拠や傍証として遠藤川内村長の発言引用もありますが、都市部の生活になれた若者が村には戻りたがらないというようなもののあり、全体のトーンとして遠藤雄幸さんがこのような主張をするとは思えず、言葉の端々を櫻井氏が強調して書いたものと思われます。マスコミ対応でよく言われることですが、発言を都合よく切り取ることによって発言者の意図と違ったものが出来上がることがよくあります。
放射能災害のなかの川内村は少し特異な所があって、原発事故から30キロ内でありながら風向きのせいで線量が低く、帰還容易の見通しから先んじて除染が始まった所です。それを見ていた郡山市民からは、「線量が高い郡山より先に低い川内の除染が早いのは何事」と怒りの声が上がっていました。
郡山に多く避難していた川内村民が逆に恐縮したり、住宅を除染しても山間部の川内は里山からScが流入してきて線量が戻るケースも考えられます。年配者は帰還してもそのような事情から子供や子供を持つ親は帰還を見合わせるため、帰還者の大半は高齢者ということになります。となれば異常な高齢化コミュニティになってしまいます、まさに「姥捨山」状態。この様な異形の社会を生むことを承知で、低線量被曝被害のコンセンサスも出来ないうちに帰還を進めたがる論調には首をかしげてしまいます。

事故を矮小化して過去の出来事として葬り去りたいのでしょうか。しかし、日本の科学技術や成長性に懐疑の目を向け始めた世界は「それで良し」となるとは思えません。保守派の櫻井氏はそれでも亜細亜に冠たる日本国を演出したいのかもしれません。
戦後廃墟から立ち上がって経済大国を作ってきた日本人の矜持は「張子の虎」は望んでいないと私は見るのですが。

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吾妻小冨士
前回のブログ、「吾妻小冨士がかすんでいた」と言う指摘がありました。福島市街地で社中から撮った吾妻小冨士、それはやはりアングルが限定されます。

吾妻小冨士0

どうも福島市の人間は吾妻山に対する思い入れが強いようです。そこで「取り直し」ならぬ「撮り直し」。
鋳物時期の吾妻山は、年が明けて積雪の真っ白な山ではなく、雪形がはっきりする残雪の雪でもなく白い粉を降りかけた様な雪の山肌です、今日の写真はその微妙な積雪が写せました。春に残雪として姿を現す「雪うさぎ」も、冬眠に入る哺乳類さながらに、雪景色の中に隠れるように静かに身を縮めています。やがて厚い雪に覆われ白い世界の中に身を隠すのですが、雪解けとともに姿を現し、初夏の訪れとともに消えてゆきます。

梨園越し1

果樹園越しに見るとまた違った風情になります。梨の棚、徒長した枝は自然の摂理で天に向かって伸びてゆきます。ところが収穫する人間が地面と平行に横に伸びてもらった方が、管理もし易く果実や葉面への受光も効率的です。自然の力を生かしつつ、時に抗するのも農業技術。この山々は何百年と山麓で繰り広げられた自然の人間のせめぎあいを見てきたのでしょう。このような雪や雨の豊な水量を供給してきたのもこの山々です。

寒のほうれんそう3

おなじみのホウレンソウ。除草剤を使わずに雑草と勢力比べで,何時も安全で美味しい野菜に仕上がります。寒さの早い今年は甘みの乗りも例年以上、有機堆肥だけの養分補給は化学肥料の窒素成分の多用による栽培とは美味しさの「質」がそもそも違います。

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冬晴れ
めまぐるしく天気が変わる昨今です。
討ち入りの12月14日は福島では雪ではなくて冬晴れ。気持ちのいい青空でした、例年この時期はどんよりした鉛色空らみぞれや時雨れが多い季節なので貴重な晴れ間です。選挙終盤の連呼がうっとうしいと言えばうっとうしいのですが、各陣営とも必死なのでなんとも言えませんが。

蔵王
蔵王といえば山形そして宮城。しかし、天気のいい日は福島市からも望めます。北側の宮城や山形の県境の山々の向こうに、くっきりと見える雪を頂いた山が蔵王です。

その方向から西に90度向くと吾妻連峰、その象徴吾妻小富士が信達盆地を見下ろします。旧国名「信夫」「伊達」で信達(しんたつ)は3.11直後の東電福島原発何号炉かの爆発時に風下に位置していたらしく特別避難勧奨地点などよくるからない「戒名」をつけてもらう破目になりました。それも14日に何地点かは解除という発表があり、解除になりに越した事はないのですが、この指定と解除により「地域コミュニティに軋轢を生んだ」と報道では伝えています。地元の人間からすると「地域コミュニティ」と言うような事実を矮小化した話ではなく、生活基盤が消失するかどうかの瀬戸際のようなことで、Cs134の半減期であるレベルに放射線量が下がっただけの話を問題解決の一段階をクリアしたようなことにすり替えるはいただけないと思うのですが。

吾妻子冨士9


テーマ:福島県 - ジャンル:地域情報

SEO対策とやら
福島では積雪がありました。といっても福島だけでの話ではなく東日本が雪。庄内空港ではANA機がオーバーランするなど、日本列島が少々早い厳寒に戸惑っています。今年は暖冬の予想でした、そういえば今年の猛暑も長期予報では冷夏で、天気も当たらんのに地震予報が当たるかと言う声が渦巻いています。

積雪4

冷気を吸い込みながら見る雪景色もいいものですが、今回は各地で雪ならばと雪のトピックではなくSEO対策の話題を取り上げてみます。
過日東京のIT企業、何とかと横文字を名乗る業者から電話が入り、HPを見て連絡をしているがSEO対策をしているのかと言う内容、何か慣れ慣れし物言いが気になりながらもSEOとはYAHOOなでのHPの検索エンジンに対応して表示される順番を上に上げる操作のこと、程度の知識はあったので、「別にWEBで物販をしているわけではないので、上位に来るのに越した事は無いが別にこだわらない」と、言うと「それは上位の方がいいですよね」「そうですね」と言うことでSEO対策の提案をさせてくれとの事になりました。

積雪5

入替わり立ち代り連絡が入り、説明の時間は2時間は欲しいとのこと。その日は90分しか取れないのでそれでもいいかというと、「良いです」で、その当日。プレゼン役が場所を間違えて30分遅刻。内容も特に目新しいものではなく「キーワードの選定」その手のことは田舎の制作会社でも10年も前から言っている事、「東京のIT企業」と言えば信用するかと思ったのかこちらが興味を示さないと怒り出す始末。
大手自動車会社の広報部にいたという担当者でしたが、ちょっとそれにしてはと言うレベルの受け答え。HPの制作は行わず検索上位保証込みのノウハウ料で200万の提示にはちょっと笑ってしまいました。

「機会があればと」お引取り願いましたが、1業種1社に絞って契約しているのでお応えは早くいただかないとと、そそくさと資料を持って帰りました。ま、このようなビジネスモデルもまだ存在するのだと、その後福島では失礼ながら、先端技術を装った詐欺もどきと「爆笑ネタ」にさせていただいています。

この寒風の中、りんごの収穫やネギの掘り起こしに励む農家がいます。何とかしてそのような仕事をしている皆さんが報われるような社会になればと思います。爆笑ネタでも会社が成立している以上SEOのクライアントもいるのでしょう。IT全盛とは言え何か割り切れない思いが残る寒風の吹く福島です。

テーマ:農業 - ジャンル:ブログ

新しい農業勉強会
ちょっと口に出すのも憚られるような、世間的には大物と言われるような方々と視察を兼ねた勉強会に参加しました。

佐原9

場所は千葉県佐原、サハラではなくてサワラと呼びます。千葉市から各駅停車で1時間以上、着いてみるとかつて「江戸勝り」と言われた美しい街並みの地方都市でした。現在は香取市の1区画「和郷園」で知られる旧山田町も香取市の一部です。今回の目的は和郷園ではなく、旧佐原の街並を生かすように開店しているレストラン、和食あり創作料理ありフレンチ、イタリアン無いのは中華くらいですかねと言う案内役の市役所の方。

東京の一流ホテルや、本場フランス・イタリアで修行をしてきた料理人も多いそうで、もちろん流行のパティシェもいます。

アクセスが良くないので観光都市とはいませんが、逆に歴史的な建造物が生活感を以って現役で機能しています。
私の生家ももう築90年。明治とは言いませんが少なくとも大正の香りは漂ううのですが、水周りや屋根などは補修せねばならず、バリアフリーなどと言う発想がない時代のもので改装・改築をするうちに新しい家など何件も建つようなコストになってしまいます。
古い建造物を維持して、レストランなど新しい息吹を吹く込むことの大変さはよく分かります。

食を提供することにより農業とのコラボレーションが生まれてきます。

堀378

今どき水運でもないので、川はあればあったで交通の妨げになるのですが、街並みの美しさから言えば水路は欠かせません。
この町も江戸時代は利根川水運で江戸への物資の輸送で栄えた商都のようです。このお誘いをいただいたときは千葉県の佐原と聞いて、長嶋の故郷か思ったのですが、あちらは「佐倉」佐原から千葉市へ行く途中にありました。

房総の方は暖かいと言うイメージがあったのですが、さすがに師走底冷えがします。原子力災害、風評被害、損害賠償、泣寝入り。暗い話題の福島から遣って来て、きれいな街並みの中で元事務次官など錚々たるたる諸兄の話を聞きながら暫し未来に思いを馳せました。哲学者など今までの人生の中でまるでご縁の無かった先生方もいらっしゃいましたが、某政党の棒党首が言う「霞が関の役人にこのまま任せておいたら日本は駄目になる」このことの感想を聞き漏らしたのが少々こころ残りです。

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年の瀬の選挙
「師走」の慌ただしさに「選挙」、例年より少々早い冬の訪れに「除染」。大震災の爪あとも生々しいところにいろいろと大変な情況が続きます。おそらく全国で最も気忙しいのがが福島でしょうが、南の方もオスプレイのあとは酔っ払い海兵隊とミサイルでこれも大変そうですが、何れにしても目に見えるものですので。

ユンボ3

いつもより早い初雪の中でも除染は続きます。公園も何度も掘り返しているように見えますが、仮置き場が確保できない以上埋設して遮蔽シートで覆うしかありません。総選挙でも話題になる日本の官僚統治ですが、縦割りの弊害ややはりとんでもない不効率をよびます。もっとも農林水産分野に環境省が出てこられてもこれも困るのですが。

除染



新たな地場産業と揶揄されそうな除染ですが、これも先が見えません。看板と事務所は建つのですが実体が良く見えません。情況を考えると物理的な除去だけでは無理なのでしょうが、代わる科学技術がありません。それでも原発の廃棄は現実的でないとする主張もありますが、使用済み核燃料の目処も立たないのに目先の電力に固執しても将来にツケを先送りするだけです。相当な借金も先送りするのですが、これはハイパーインフレで国民の生活レベルはともかく、帳簿上のバランスシートは改善できます。

鉄腕アトムで育った世代なので未来は明るいものと言う思想に変わりはないのですが、「本当かな」と思わなくはない昨今です。

仮設

「この寒空に」と言うのも死語のようなフレーズですが、食事や憩いの場所も仮設と言うのは文字通り寒々しく見えてしまいます。同じ施設が猛暑の今夏は夏苦しく見えて仕方がなかったのですが。
賠償金云々と言う声も聞こえてきますが、この場所に立ち行き交う人の息づかいを聞くと「銭・金の問題ではない」と思いが一層強くなります。各党の党首も福祉まで衆院選の第一声を上げたものの、仮設住民のあるいは福島県民の視線は冷ややかです。
被災地を慮ってよりも一種のパフォーマンスとしか移りません。それは、脱原発、卒原発の主張についても変わるものではありません。
川筋の憂鬱
阿武隈川

前にも書いた阿武隈川、福島を縦断し仙台平野から太平洋に注ぎます。個もあたりが福島・宮城の境界近く師走の柔らかい日差しをあびて何事もないように水面が光っています。
この辺りの地域、川の両岸には少々趣の変わった建造物が立っています。

はせ

はせ3



通称「あんぽ小屋」、ここで例年皮の剥いた柿を吊るして乾燥させます。オレンジ色の柿が数珠のように簾のようにさがり、なんともいえない光景を創ります。
乾燥させるがゆえに果実中の放射性セシウムが濃縮し他の果実よりセシウムが検出されるリスクが高いことから、今年も加工自粛になりました。
食べられることのない柿が畑に捨てられ、また樹上で朽ち果てやがて落ちていくさまは何度か書かせていただきました。

遺失利益は賠償されるといっても、このような施設の償却はどうなるのか、将来販売を開始したとして顧客の残っているのか、産地の心配の種はつきません。遺失利益とは基準年の売り上げ実績-生産費用ですから、下降に関わるパート代は経費になります。経費は支払われないのでパート収入は全く補償されません。高齢者でも、比較的冬の現金収入が少ない農村地帯でこのような収入がなくなると、商工関係までボディブローのようにダメージが蓄積されます。

さるぱねいわ9

紅葉こそ終わりましたが水面に切り立った岩肌が映る「猿跳岩」、宮城とと福島の県境です。阿武隈川の水運が盛んな頃は舟の難所であり、先ほどの写真のように広い流域にゲートのように両岸に岩が立ちははだかるため、ここでダムのように水が堰き止められ上流に水害をもたらすことでも知られています。
両岸の岩を猿が跳ねて渡ったという伝説でこう呼ばれています。

耕や

猿跳岩からいくらも行かないうちに柿の干場かありました、ここは宮城県なので加工規制がないようです。逆に規制をしてしまうと「風評」を煽ることにもなります。
もともと放射能の飛散に行政区分もなく、同心円状に広がったわけでもありません。宮城県の柿は危ないといっているわけではなく、あんぽ柿の技術伝承は将来につなげて欲しいと思っています。

縦割りの行政システム、不安心理を煽るだけの報道スタイル、危機管理が機能してこなかった放射能災害。原発のリスクを活断層だけに求めるのではなく、全く持って人災であった事実を忘れていただいては困ります。

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