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慇懃無礼
東電

閏の今年も明日から弥生三月、ようやく春が来ます。
そして3月11日もまたやってきます、ほんとうに激動の一年でした。

東京電力の「福島補償相談センター」福島のシンボル信夫山のふもと、福島から山形・秋田に向かう国道13号線信夫山トンネルの近くにあります。空き家になったコンビニ跡地にひっそりと開いていました。
車の誘導のガードマンもおり、東電の社員さんでしょうかドアボーイよろしくドアを開けて中に案内してくれます。中では2人一組で相談者の対応をしています。
福島補償相談センターといっても、要は東京電力の請求様式の記入方法の説明、東電にとって都合のよい賠償内容になっているのはもちろんです。
今日のブログのタイトルに、実も蓋もない「慇懃無礼」という四文字熟語をいれましたが、まさにこれ以外の言葉が見つかりません。言葉は丁寧に、そして事務的に相談者すなわち被害者をあしらう様な態度に、被害者もますます意固地になって行きます。しかし、合意しなければ補償金は受け取れません。机をはさんだ根競べが続きます。
誠実そうな、一生懸命謝罪し懇切に説明する相談員もいます、ですから話を聞いているのか寝ているのか分からないような相談員がいると、それだけで相談者は気が重くなります。

除染1

ようやく近所の公園でも除染が始まりました、この公園の向こう側には新興の団地が広がります。ですから子供が多く、親の切実な声がこの辺ではいち早い除染に繋がったのでしょう。いち早いと言ってももう原発事故から1年、遅ればせながらと言うべきでしょうか。
子供の避難より除染を優先させるといいながら1年たってようやく始まるスローリーは噴飯モノですが、とりあえずは今後も迅速に続けて欲しいものだと思います。
民間の事故調査委員会は事故当時の総理をはじめ関係者の不手際を厳しき指摘していました、もう不手際は許されません。
世界が、そして歴史が福島を見ています。
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テーマ:ほっとけない原発震災 - ジャンル:政治・経済

雪の上で交錯する想い(2)
除染説明2

有機質を微生物で発酵させ、肥料や土壌改良に使う資材を「ぼかし」といいます。農業に関係ない方々とっては耳慣れない言葉かもしれません。農業、特に有機農業にとっては欠かせない技術です。
米糠が発酵しやすく、原料の調達コストも安いのですが、何せ福島は水田が汚染された関係で米糠の使用も汚染状況を測りながらになります。

そこで全国のEM関係者からボカシを送ってもらう活動をしています。26日の日曜日は大阪のNPO法人よみがえれ!かんきょうの三重野さんと岸さんがわざわざ福島まで視察に来られました。

三重野1

雪の上での除染作業、樹皮の剥ぎ取りを見ながら、送っていたぼかしが役に立っているのかいないのかとても気になる様子でした。はっきり言って「とても有効に使わせていただいております」と言う回答に逆に大変喜んでいかれました。
樹皮の剥ぎ取などは対処療法の最たるもの、土壌のセシウムの生産物への移行をするなくすることが何より重要です。微生物の塊のような「ぼかし」を土壌に入れることによって土壌を豊にし、セシウムの吸収を抑制します。

大阪の皆さんをはじめ、全国のご協力いただいている皆さんにくれぐれもお礼を申し上げてくださいと、遅ればせながらお二人にメッセージを託しました。


散布機1

ここ大内果樹園さんも、雪が融けたら直ぐ撒けるようトラクターに散布機をつけて準備中でした。
福島県では環境省との折り合がはつかず、農地除染の補助対象は大型トラクターに着けたプラウという機材で反転耕起(土を上下逆にすること)し、ゼオライトという鉱物を入れることだけとのこと。そのようなことは、樹木のある果樹園では出来ようがなく、水田や畑作でも対象地は限られます。深く掘って石でも出てくればにっちもさっちも行かなくなるという農家の嘆きは的を得たものです。

空間線量が下がればいいのは居住空間の話、食糧を生産する農地はそうは行きません。「素人は考えてもそう思います」と言う言葉を残し、三重野さん岸さんは大阪に戻られました。遠くまで本当にありがとうございました、今後ともよろしくご支援下さい。

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雪の上で交錯する想い(1)
除染作業

雪の上で果樹園の除染作業が続けられています。以前にも書きましたが、樹皮に付着したセシウムを取り除くために果樹の樹皮を1本ずつ剥してゆきます。雪の上で気の遠くなるような作業が毎日続けられます。
しかし、何せ国内はおろか世界中にマニュアルのない作業、効果のほどは誰も分りません。すでにセシウムが樹皮から浸透していて果実の成長とともに移行して行く可能性もあります。そうすると、樹を植え替えるしか手はなくなります。俗に桃栗3年柿8年とはいいますが、それは生り始まるまでの期間で、成木するまでにはもっと年月を要します。もちろんその期間も管理は必要です。
地上に落ちた樹皮から、セシウムがまた根から吸収される可能性もあります。はっきりと出口の見えない作業を黙々と続けなればなりません。

浪江町6

たまたま、福島市に避難していた双葉郡浪江町の皆さんも作業に駆り出されました。少し遊休農地を借りて野菜を栽培していました、しかし積雪などで栽培を休んでいたそうです。
浪江町は第一原発の直ぐ傍、除染も進めようがないほど線量の高い場所もあります。皆さんの気持ちを慮るとちょっと浪江の話も持ち出せませんでした。
浪江など太平洋側は福島でも雪の少ない場所、このような積雪のなかでのは経験がないことだと思います。故郷を追われるように避難した先で、不条理な放射能災害にあった農家をまたお手伝いする境遇。手伝う方も手伝われる方も、交錯する想いは量り知る術もありません。
「今後電力不足が懸念されるので原子力発電所の再稼動を模索する動き」と新聞は伝えています。満ち足りた生活を望んで電力不足を言うのであれば、このような境遇の人々は、このような必要のない苦労をしなければならないのか、答えはどこにあるのでしょうか。

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名勝の雪
雪の松島2


雪の会津からもどり、「つるし雛」で少しだけ春の節句の余韻に浸った翌日にまた大雪に遭遇しました。
宮城県松島町の堆肥化施設を視察に行く当日はとんでもない大雪で、高速道路も渋滞の挙句自己で通行止め、国道45号線に下りてまた渋滞のなかを目的地を目指します。
さすがに日本三景、雪の松島も風情がありますが約束の時間を大きく遅れて目指す心境は景観を愛でるどころではありません。


松島は点在する島の影響か、東日本大震災の津波の影響はそう甚大ではなかったと聞いています。しかし、やはり原発事故の風評被害で首都圏からの観光客が減少し、観光地の旅館でありながら食拍車は工事関係者が多いとのこと。5月の連休頃には観光客が回復してくれれば・・・というのが地元の願いのようです。

清掃公社2

旅館から生ゴミを回収し堆肥化する処理施設もそのような事情で開店休業、雪の中の倉庫でダンプカーやホイルローダーが出番を待ちます。春を待つ心境は何処もじです。
春には循環が立ち上がり、松島の売り物がまた一つ増えるものと期待する理事長さん。とにかく春を待ちましょう。
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テーマ:冬の景色 - ジャンル:写真

冬の最中春を待つ福島です
東屋1

<強風から時雨、そして穏かな冬晴れへとめまぐるしく変わる天気、季節の変わり目でしょうか。

今日は朝から雪の会津へ、午後は福島県中通北部の桑折町へこちらもめまぐるしく動く一日でした、さすがに会津はまだ一面の雪、公園の四阿も雪の中で春を待つように佇んでいました。

a href="http://blog-imgs-15.fc2.com/e/m/o/emorga/201202242156543ec.jpg" target="_blank">つるし雛2

反面、伊達郡桑折町では町を挙げて「雛めぐり」という行事で町が華やいでいます。商店の軒には「つるし雛」と飾りつけが下げられています。昭和というより大正、明治の雰囲気が漂います。

そして座布団を折ったような人形も飾られています。私はこの隣町の生まれですが、このような風習は見たことがありませんでした、何かいわれがあるのでしょう、今度調べてみようと思います。
そして、この「つるし雛」は仮設店舗にも飾られていました、なんともはかなく悲しげに見えてしまいます。この桑折町も地震で家屋、特に歴史的な土蔵建築物に大きな被害がでました。そして、町の中心部には原発の避難住民が暮らす仮設住宅があります。

仮設3

ここの仮設は双葉郡浪江町からの避難者が多いと聞きます、まだまだ帰郷の目処が立たない浪江町の皆さんにとって異郷の風習は慰めになっているのでしょうか。


テーマ:福島県 - ジャンル:地域情報

果樹園の除染
冬の間でも果樹園の作業は休むことはありません。
落葉し樹が休眠している間にも伸びた枝を剪定して、樹形を整えて果実に充分に栄養や日光が行き渡るように管理します。
有機肥料を散布するのも冬季間の作業です、いわば果実の品質や美味しさの源は冬の間に作られます。

剪定2
まだ、あちこちで雪の残る果樹園で、黙々と作業が進められます。以前と違い剪定ばさみも電動式、腰にバッテリーを下げかなり太い枝まで切り落とすことが出来ます。太い枝を切り落とすときはのこぎりを用いましたがその必要はなくなり作業はスピーディに進むようになりました(はさめない太い枝は相い変わらずのこぎりですが)。
その分機材が重くなり、夕方になると腕が上がらなくなるほど疲れるといいます。

剪定

それに今年は「除染作業」が加わります。
金具で果物の樹の表面を剥いてゆきます、梨はこのように剥きますが、果物の種類によって剥けないもの、高圧洗浄器でで樹皮を吹き飛ばすものといろいろな手法が採られます。
いずれにしても余計な手間ひまなのですが、こうまでしても出荷の季節になると「福島産」といわれて、嫌われてしまう可能性もあります。

今年の冬はことのほか寒く、全国的に梅の開花も遅れがちとのこと、でも暦はまた弥生の季節を知らせてきます。あれから1年経過した3月11日もやってきます。ことのほか寒い冬に多くの作業を行い、消費者の審判を待つ産地にいろいろと心無い声も届きます。
何をよりどころにして生きて行けばいいのか、農家の声は悲痛です。

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視察が相次ぎます
視察

放射能災害は新しい次元を迎えたようです。、
東京電力の全く無責任というか、当事者能力が既にない状況では彼等を責めるのは無駄なことかもしれません。変わって経営の主導権をとりたい経済産業省、そんなコストは払いたくない財務省。手の届かない場所での混乱が続いています。あることないこと書きたてていた週刊誌も福島ネタは飽きたと見えて、首都圏直下型地震から年金問題、果てはオセロの中島と木嶋何某と話題つくりに余念がありません。

そんな喧騒をよそに、農業現場は動き出しています。
循環型をめぐる動きはやはり注目されているようです、大量に排出される畜ふんの処理に悩む事業者がいると、そこにビジネスチャンスを見出そうとする動きも出てきます。
この日も契約農家田中農園の畜ふん処理技術の視察がありました、一声掛けると関連業者まで大勢集まります、都市近郊の方が熱心なのも特徴の一つです。
また、永年提唱してきたサプライ・チェーンという概念、例えば堆肥化という技術が有機性廃棄物の排出者のみならず、回収業や、生産農家、特徴のある農産物を扱いたい販売業者まで、最低でもこのような連鎖的なの対応が必要になります。

ほうれんそう4

最後にモノを言うのは生産品の品質。マーケッターなどといわれる人たちがいくら横文字を並べても、結局品質が伴っていなければ「絵に描いた餅」ここの管理が結局キモになってきます。葉肉の厚いほうれん草、抜群の甘さと食感、ここを大切にしないと本質を見失います。
農業対策と称して、多くの金額をハコモノに投入してきた日本農業、今新しい発想とソリューションが求められています。



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生産者総会
ボード1

毎年1~2月に開いている生産者総会を今年は14日開きました、例年よりやや遅めだったのはスーパー・マーケットトレードショーなどの出展があり、なかなか日程が取れなかったため。
未曾有の大災害と、何より放射能災害があり地域の農業維持が困難を極めるなか、連年通りのの参加者がありました。
会場はは最近定宿になっている磐梯熱海温泉ホテル華の湯、福島を代表する名館です。

外観

本当に放射能災害によって先が見えない話、微生物と有機質により近隣農家より放射能の被害が軽減されていること、しかし福島というだけで「風評被害」が深刻で、それについても先が見えないこと。
当然ですが例年にも増して、多くの話題で真剣な討議が続きました。
それにしても、東京電力の不誠実な対応、県や市の施策も後手後手にまわり有効な支援が出来ていないこと、現場のニーズと支援体制がまるで噛み合わないこと、ここまで来るともはや人災であるということが浮彫りになって来ました。

ことには思いの外温度が上がらず、葉物野菜の育ちが悪いこと。春以降も低温傾向が続きそうなので桃の作柄も心配なこと、おかげさまで貴重な情報交換の場にもなりました。
何やかにやと言いながら、来年もまた顔を合わせることを約束し県内各地に戻って行きました。全体の会合は年一度でも、ブロックごとの技術講習、栽培品目ごとの検討会は随時開かれます。
さらに共同除染まで話が及びました。これの至急対応を立ち上げなくてはなりません。後手後手の県や市との協議もしなければなりません。

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吾妻と安達太良
全国的に天気が崩れるということですが福島でも晴れから薄曇になってきました。

冬晴れの青空に映える雪山も見事ですが、薄曇にかすむ山もなかなか風情があります。
福島市から真西に見える吾妻山、新緑や紅葉一面の桃の花越しに見る吾妻山もよく紹介されるところですが、厳冬期の雪を頂く吾妻山が好きだという声もよく聞くところです。

吾妻1

さらに南西に目を転じれば安達太良山が見えます。吾妻山の吾妻小富士に相当する様な目を引く形がないのですが、強いて言えば乳頭山でしょうか。背後の高い峰の手前に見えます。

安達太良1

福島県の中通と会津地方を隔てる奥羽山脈ににあります。何れも麓や中腹に温泉郷を抱えています。
例えば土湯温泉、岳温泉。それらの温泉は震災以降というか、原子力災害以降不振が続いています。それ以前の構造的な温泉離れがあることはあるといいますが。いずれにしても、震災・原子力災害・風評被害という一連の出来事によって「倒産」廃業」の旅館も数多いと聞きます。不運と見るか歴史の必然と見るか見方も分かれるところです。

彼の東京電力も民営として維持するのか、国の管理下に入るのか早急に答えが求められているようです。ある意味今回の大震災の最大の被害者は東京電力であるともいえます、天文学的な賠償金額と廃炉費用は企業経営の枠を超えています。しかし、それも不運と見るかそれとも歴史の必然と見るか、これも見解の分かれるところではあります。

テーマ:福島県 - ジャンル:地域情報

御用学者の反論が聞きたいのですが
2月10日(金)20::00~ NHKテレビ今風に言うとGチャンネルというのでしょうか、東北ローカルで東京大アイソトープ研究所の児玉龍彦教授のインタビュー番組が放送されました。

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昨年7月の参議院で堂々たる政府の原子力事故に対する対応批判を行い一気に名を上げた研究者です。除染費用800兆円を打ち上げました、逆にリアリティのない数字だったかもしれませんが。
これほど極端なこと言うと相当の反論が出るのですが、もちろんネット等でいろいろ書き込まれて入るものの、メディアを含めて大きなバッシングはおきていません。この辺はさすが東大というべきでしょうか、ご本人は原発を推進しさらに事故を引きを越した東大所属であることを恥じているようです。
児玉先生は折にふれ、子どもの被曝の発がん性リスクを心配する発言をしています。この日の放送でも他の研究者とリスクの大・小について論争をしていました。
この手の発言があると、たちまち御用学会や学者先生からネットで反論があるのですが、どうも肩書きも人気もある人の発言だと、追求がでてこないがでてこないのが面白いところです。
もちろん福島県の住民としては児玉説は杞憂に終わり、発がんリスクなどどこにもなかったことを願っています。しかし、現実に起こっている福島軽視は断じて見過ごせません。事故現場付近で常磐線や建設中の常磐道の建設が止まったままであること。これでは、その北にある相馬市などは袋小路で居住や経済活動が維持できないこと、福島県内の除染が進まず1次産業が停滞していること。その代償はしっかり対応してもらわなければなりません。


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雪の中でも検体採取
小沢1

放射能汚染に関する情報は限られています。原子力は安心なのだから汚染を心配する必要はないと研究そのものがタブーとされいていたこともあります。
従って対策を講じるには少しでも多くのデータを集めなければなりません。雪だ寒いと言っているわけにもいきません。雪をかき分け土壌や野菜の検体採取をしています。

キャベツ1

以前、県の放射能分析をしている機関が、週6日間休みなくフル稼働、分析をしていますと言っていましたが、週は7日間加えて夜もあると言うのが民間の常識で、非常時にもこの認識かと驚いたことがあります。
安全宣言を出してから汚染米が大量に出てくる現状で、少しは対応も変わったでしょうか。

新庄4

検体採取も、採取場所を記録するGPS、ホットスポットを探すガイガーカウンター、Bq値を土壌を5cmずつの深度で正確に測るゲルマニュウム半導体計測器と最新機器をそろえても、最後はやはり人手と根気になります。

きめ細かな情報の蓄積が最後にはものを言うはずです。




テーマ:野田内閣 - ジャンル:政治・経済

日本の「正義」 2
今回もまた、大それたテーマですが、極めて個人的な話題から。

昨年の秋、健康診断で胃の精密検査を命じられました。実はその一年前も同じような診断で胃カメラを飲んだところ異常なし、ところが今年は原子力災害に関わるストレスと不規則な生活から、さすがに胃痛や吐気などに悩まされてきました。
しかし、時間が取れず先延ばしをしたまま年を越してしまい、透視のレントゲンを見た医師からは「胃がんの可能性もある」と脅かされる始末。覚悟を決めて1月半ばに胃カメラを飲みました。
逆流性食道炎もなく胃も軽い胃炎がある程度、投薬が必要なほどではないとカメラを操る医師の話を聞きながら、(経鼻胃カメラなので)話をしながらカメラを押し込んでいると医師の手が止まりました。
「相当激しくやってますね」と医学用語とも思えない表現の場所は「十二指腸」で、素人目に見ても分かるほど横一文字の傷が見えました、十二指腸潰瘍です。

出来れば安静と言い渡されましたが、かなり先まで外せぬ予定が入っています。とりあえず「無理はしません」「禁酒」も続けます、とその場を取り繕い何とか病院からは逃げ帰りました。

ほ3

風評被害対策や、24年度の生産計画、主宰している事業運営や原子力災害の損害賠償交渉、目の眩みそうなスケジュールのなかで半月後、1月後の講師やコメンテーターなどは何とか下ろしていただく交渉をしていました。
もちろん、どうしてもしなくてはいけない情報発信や報告もあるので軽重を見極め、代理を立てられるのであれば今回はご容赦をという話を進めるのですが。どうしても出て来いという団体もないではありません。

それら交渉をしているうちに「幕田が病気」と言う情報がかけめぐりました。そうなると逆におちおち休んでもいられません。さらに忙しさに拍車がかかります。

私たちの話にあなたの発表は必要だから、代わりが見つからないからあなた来てよ、出先にまで携帯が入ります。
主催者にとって原子力災害下からの報告は不可欠で、それらを表立って支援することはある種の「正義」なのでしょう。しかし、被災者のニーズや意向は一様ではなく、他人の意見や見解を押し付けられることで逆に「ストレス」
や「被害者意識」を植えつけられることも多々あります。

放射能災害下の福島は、情報過疎ではなく多くの情報が飛び交い整理出来ない状況にあります。特に小さな子どもを持つ母親の精神状態は察するに余りあります。
仕事や経済上の理由で、子どもを避難させれない家庭も多くあるというより、それが大半と言ってよいでしょう。避難先でも差別やいじめが多くあると言います。少々旧聞ですが主務大臣が「くっつけてやる」と軽口をたたき更迭される国ですので何があっても不思議ではありません。
ある母親は「こんな危険な場所から子どもを避難させないのですか」と言われたとき、パンを求める民衆に「どうしてお菓子をためないのかしら」と言ったフランスの王姫ことを思い出したといいます。
いろいろな不条理に耐える福島です、私の潰瘍などもののかずではありません。

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日本の「正義」
ブース6

東京から戻りました。東京ビックサイトで3日間開催された「スーパーマーケット・トレードショー」東日本大震災復興コーナーで、ふくしまから日本へ「農業再生」ビジョンネットワークとして、環境調和産業を題材にビジュアルを含めた情報発信をしてきました。

だからと言って今回は“日本の「正義」”と言うような大仰なタイトルになったわけはありませんが、やはり福島を離れてで多くの人と接すると震災以降の日本の現状を考える材料になります。

ビックサイトからの帰り、「ゆりかもめ」から湾岸の高層ビル群を見るとおびただしい数の光に、SFでみる未来都市のような印象さえ受けます。
その「未来都市」も電気の供給によって成立し、その電気の供給源はものの見事に破壊されて、原発の周辺が地獄の苦しみにあえいでいるなか、供給を受けた側は日常と変わらぬ生活を享受しています。しかも電力の値上げは御免被りたいとのこと、いつの間にか日本でも訳の分からぬカースト制でも成立したのでしょうか。

福島の住民は必死で情報を求め勉強をして対策を考えながら生活をしています。
「いい方法を教えて差し上げます」などと高飛車なレクチャーをしたがる輩も多いのですが、おおよそ「売名」「金銭目当て」「功名心」と楽屋裏も見えてくるようになりました。もちろん「金銭目当て」を否定するわけではありません。役に立つ技術にはそれなりの対価が支払われるべきです。
おかげさまで、事故当初エキセントリックな発言で知られていた、かつて原子力村に居たという大学の先生などは、このところすっかり福島では耳にしなくなりました、仏の顔も3度というところでしょうか。
その分、永年のデータでしっかりした根拠のある安心感を与えるような情報や講演も増えてきました。


http://blogs.yahoo.co.jp/fukushima_apple

私の上京中にスウェーデンの研究者の講演を聞かれていた契約農家大内さんのブログです、放射能の素人が聞いても「妥当だな」と言える内容で、このような話はほんとうに福島で生きる勇気を与えてくれます。情況に安住は出来ませんが、将来にわたる目標が明確になってきます。

東京での移動中、嫌でも目に入るのが電車の中吊り広告、週刊誌は東京圏直下型地震で持切りです。福島第一原発事故の、あることないことで満載だったのが遠い昔のよう、彼らの正義の報道の正体はやはり売らんかなのようです。
売らんかなは人の支持を集めること、人の支持を集めるのが正義と言う考えもあるでしょう、しかしその言動の裏には何の過失も瑕疵もないのに深い傷を負ってしまった大衆もいるのです。



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