
秋の青空や紅葉した里山を背景にたわわに実る柿はまさに福島、特に伊達市を代表する風景です。 ところがご承知の通り今年は放射能の影響で干し柿に加工しません。こんなときに限って何年かに一度の大豊作、収穫されない柿が風に揺れていました。

もともとこの地方の干し柿「あんぽ柿」は、大正時代にカリフォルニアのレーズン加工からヒントを得て考案された手法で、剥いた柿を二酸化硫黄で薫蒸して半生で仕上げます。半生とは言え乾燥で重量が減るため果実の中に取り込まれていたセシウムが濃縮され、暫定基準値を超える可能性が出てきます。万一に備えて加工出荷の自粛になってのですがこれから除染を進めたとしても、来年は食品基準値が低くなると言う情報で、ことによるとこの地方から干し柿つくりという産業が消えてしまいます。
農家が賠償を受けれな済むという問題ではありません。農家に加工の手伝いにくる労働力、出荷資材の納入業者、運送販売業者、産業の裾野が広いため地域経済に及ぼす影響は相当大きいものがあります。
営々と続いてきた産業が忽然と消えてしまうことは経営経済はもちろん、自然保護、環境破壊にも繋がってしまいます。なんてことをしてくれたんだ「東京電力」、農家の怒りの矛先はまるで農家の遺失利益を賠償すればそれで解決すると言わんばかりの東電担当者の口調に向けられていました。
テーマ:ほっとけない原発震災 - ジャンル:政治・経済
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